一枚の服が完成するまでに関わる人はとても多い。デザイナーにパタンナー、生地作りや縫製を行う職人。原料にさかのぼれば、羊や綿を育てる人もいるし、合繊素材を開発する人もいる。
「あなたが着ている服も多くの人の手によって長い時間をかけて作られているのよ」。服作りのストーリーを小学1、2年生に話したら、みんな目から鱗(うろこ)といった表情になったという。某PRの女性が、ボランティアで行っている服育のひとコマだ。
激安の服が増えるなか、子供たちはスイッチポンで服は作れると思っていたのかもしれない。しかし現実は違う。物作りのいろんな場面を説明するごとに彼らの表情が豊かになったそうだ。服に対する価値や愛着が生まれた瞬間だったのだろう。
魅力を知ってもらうのは早ければ早いほどいい。それは、ひいてはアパレル業界そのものの価値向上につながる。この業界で働くからには多くの人に服の物語を知ってもらいたい。(規)