スマートテキスタイルへの関心が高い。1月に都内で開かれたスマートテキスタイルを含むウェアラブル技術の見本市も活況だった。その中で、ある繊維メーカーは危機感を募らせていた。
見本市は今年で4回目。出展メーカーは「うちの技術で色々なことができる」と訴求するが、大半は実用化に向けた具体的な開発について「これから」あるいは「まだ」。1年前と大きく変わっていなかった。
一方、先行企業もある。明確な開発目的があり、ニーズを捉え、形にしようとする動きは速い。ヘルスケアやスポーツ分野で試行錯誤を素早く繰り返しながら着々と先行事例を積み上げ、既に次のステージにいる。今はVR(バーチャルリアリティー)ゲームや自動車の運転といった分野で開発が盛んだという。
テキスタイルの開発力は日本の強み。伸縮、柔軟性などテキスタイルならではの特性は、日常で違和感なく使えることが求められるウェアラブル技術にとって今のところ最適と言える。ただ、テキスタイルがICT(情報通信技術)と融合して新たな価値を備えようとしている今、これまでの繊維業界では体感できなかったスピードで開発が進んでいくと考えられる。
(嗣)