台湾で行われた台北紡織展を取材した。台湾繊維業界の現状を反映して、合繊を中心としたスポーツ、機能素材が大半を占めた。その中で、少ないものの日本からの参加企業・団体がいくつかあった。
その一つが羊毛の寝具用わたで自主基準を設けて活動しているファイングレードウールクラブ(FGWC)。ブースの一角では共同出展した日本綿寝具製作技能士の有志6人が、座布団へのわた入れを実演した。
この実演が「思わぬ盛況」で、製作した和座布団を「その場で買いたい」という人が相次いだ。「合繊や機能素材の中に埋もれるのではないかと心配した。しかし日本の物作りでは知られていないものが多く、とりわけそれが若い層を引き付けたようだ」と実演した技能士。FGWCの羊毛製品も「日本国内での羊毛加工が目を引いた」と、こちらも引き合いが多かった。
人口2300万人の台湾はそれほど大きな市場ではない。しかし「手作りの商品や日本製のこだわり商品にはまだ未知の市場が存在する」ようだ。先の技能士らは「企業トップの応接室のソファに置くクッションなど、開拓する先が見えてきた」と台湾市場開拓に意欲を燃やす。(浅)