この時期になると、まさに「食欲の秋」を彷彿(ほうふつ)とさせる。新米や新そば、秋刀魚(さんま)、栗、柿やぶどうなど山海を問わず日本の秋の味覚は豊富だ。
「旬」は、特定の食材が最もおいしいとされる限定的な時期を指すが、食材以外にも広く使われる。特に目立つのは流行に対してだろうか、ファッションの話題でもよく使われている。だが最近は爆発的なヒットが少なくなり、聞く機会も減ったように思える。
多くの経営者は企業の安定を求め、扱う商品が定番化することを望む。だが変化が少なくなると、消費者にとって魅力が薄れてしまうことも多々ある。いつも同じ商品が並んでいるいつもの棚に、食指が動かされることは少ない。
旬を生み出そうとする気概は企業のみならず、業界にとって大きな推進力となるはず。ただし旬は過ぎれば、次の旬を迎えなければならない。大事なのは気概を持つことではなく、持ち続けることなのだ。ファッション業界もそろそろ旬という言葉が頻繁に聞かれるようになって欲しい。
(樹)