ECのストーリーコマースで注目の企業を取材した。一つは「ほぼ日刊イトイ新聞」を運営し、今年上場したことでも話題となったほぼ日。もう一つは「北欧、暮らしの道具店」で知名度を高めているクラシコムだ。
共通するのは、データやマーケティングに頼ることなく、社員の熱量をコンテンツ作りのエンジンとしていること。世の中にない商品開発に情熱を燃やすほぼ日では、マーケティングはご法度。クラシコムの青木耕平社長は「いかにデータを無視するか」と言い切る。
「真面目な人ほどデータを見て、ゲーム理論で最適化してしまいがち」だが、サイトの共感者を増やし、関わり合いの中で買ってもらうことを重視する。PV(ページ閲覧)数で評価することもしない。
親しみを持ってもらうため、社員や開発に関わる人が多く登場する点も同じ。クラシコムはサイトで名前や顔を公開できることが採用条件の一つで、「HtoH(ヒューマンtoヒューマン)の時代になった」と話す。BtoB(企業間取引)でもBtoC(企業対消費者取引)でもなく、個人の熱量が人の心や消費を動かす。(佐)