《視点》非日常と快適性

2017/06/28 04:00 更新


 野外イベントや体験型コンテンツが成功するポイントの一つが、「非日常×快適性」だろう。先日、横浜で開かれた都市型フェス、グリーンルームフェスティバルでも感じた。屋外ライブで生まれる熱狂と、芝生広場や設営されたテントの下で自宅のように酒を酌み交わすゆるい雰囲気が混在し、昨年を3万人上回る約11万人が来場する盛況ぶりだった。

 大自然や大都会という非日常空間で、家のように心地よく、家族や友人とぜいたくな時間を過ごす「グランピング」も同様だ。スノーピークは6月、神奈川県三浦半島の海岸に、隈研吾氏設計のモバイルハウスで宿泊できる施設をオープン。カフェカンパニーもJR大阪駅の隣に、手ぶらで行けるおしゃれなバーベキュー場を作った。こうした広がりを「ブームではない。キャンプそのものとして定着してきた」とは関係者。従来の男臭いキャンプの方が、マイナーなものになりつつあるという。

 野外フェスもグランピングも、「野外や屋外のような空間で人と良い関係を築きたい」という欲求の高まりに応えたもの。商業施設や小売りの店頭でも、こうした場が増えそうだ。ただ、買い物の場としては、ECの方が便利で快適、そして非日常性はさほど求められていない。客の悩みや不満を解消する売り場や商品なしに、消費には結びつかない。(藤)



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