《視点》仕事と評価の明確化

2017/06/27 04:00 更新


 少し前にあるアパレルの経営者が、「実は…」と教えてくれたことがある。その会社は少し前まで小売り事業が足を引っ張っていて、苦しい決算が続いていた。でも、「(小売り事業の陰に隠れていたが)実は本業の卸売り事業も相当悪かったんだ」と。

 だが、現場の卸担当の社員はそう思っていないという。俺たちの部署は黒字なのに、小売りが足を引っ張っている。業績が悪いのはあの部署のせいだ。「悪いところにばかりに目がいってしまう」のだとか。自分のところも苦戦しているのに気づいていないのか、見て見ぬふりをしているのか。人の性(さが)と言えばそれまでだが、この話を聞いてドキッとして「自分は大丈夫か」と胸に手を当てる人もいるかもしれない。

 その社長は「一人ひとりの仕事を明確にし、評価基準を鮮明にする」ことで、これを改善した。仕事と評価基準が明確なら「もっとスキルを磨こう」と人は思うもの。自分の仕事に集中していれば、他部門に干渉することもなくなる。シンプルな分、徹底すれば効果は抜群。業績もV字回復している。

(森)



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