TSIの婦人服ブランド「ヒューマンウーマン」は、ブランドの25周年を機に「ゴー・グリーン」プロジェクトを始める。ブランド認知及び接点の拡大を目的に、環境に配慮した商品や日常を彩る雑貨の販売、ワークショップなどのイベントを期間限定店を軸に行う。22年度の売り上げが前期比13%増と好調なことから、プロジェクトを通じてさらなる事業拡大を目指す。4月12日から始まった東京・下北沢の期間限定店を皮切りに、今後も2、3カ月に1回、限定店の開催を予定している。
ヒューマンウーマンは現在、ECと56の実店舗で運営している。22年度の売り上げは実店舗が13%増、ECは11%増で着地。今期は3月も実店舗11%増、EC7%増と好調を維持している。コロナ禍前の19年度に比べ、ECの正価販売は65%増と収益面でも大きく改善。コロナ禍を経て、客の外出が増えていることから、プロジェクトにより消費者との接点を増やし、認知をさらに広げる。
プロジェクトは18年から始めた衣類回収の取り組みや顧客インタビューがきっかけ。モノだけでなく、コトやヒトも絡め、実店舗とECで展開する。那須佑太ブランド長は「これまでのように店を構えて物を売るだけでは、長期的にはブランド継続は難しい」と話す。
プロジェクト向けに独自企画したアパレルは長く着用できるよう工夫した。肌触りの良さを重視しながら、生分解性のあるポリ乳酸素材や、農薬いらずで少量の水でも生育が早いヘンプを使用するなど環境にも配慮。サイズはMとLだが、独自の設計で男性でも着られるようにした。ライフスタイル雑貨は食器や花器、キャンドルやディフューザーなどを買い取りで仕入れた。ECと、最新の内装に変更済みの12の店舗で取り扱う。
コトでは、開催期間の週末にマルシェやワークショップを開く。下北沢のマルシェ(4月15日と16日)には、ヴェジーテンポ(野菜)やペンタ(薬膳ソーダ)など9店が参加する。また、フラワーアーティストの前田有紀さんを招き、リース作りやハーブの寄せ植えのワークショップを開催する。
アナログな手法だが、ポスティングで地域の住人へも告知。「地道な取り組みだが、地域密着型の運営を強めたい」考え。6月にも都内で期間限定店を開く予定で、地方への出店も検討している。プロジェクトを通じてトライ&エラーを繰り返し、次年度以降は既存の運営とは異なる店舗展開も構想している。