東レ 香港の丸編み大手企業に資本参加

2017/07/03 05:20 更新


 東レは6月30日、香港の丸編み大手、互太紡織(パシフィック・テキスタイルズ・ホールディングス、尹惠來会長兼CEO=最高経営責任者)に対し、株式の28%、約590億円の出資を決めた。同社とは大手SPA(製造小売業)向けのサプライチェーンで協力関係にあり、資本参加を通じて糸・わた、テキスタイル、縫製一貫型ビジネスのさらなる強化を狙う。

 600億円規模の投資は、東レが13年に買収した炭素繊維大手の米ゾルテック以来で、繊維事業では過去にない投資額という。

 同社の非執行董事で筆頭株主の葉炳棪氏が保有する全株式(4億500万株、持ち株比率28・03%)譲渡の打診を受け、東レ側が「パシフィックへの資本参加は非常に重要」と判断し、両社協議を経て合意。7月中旬までに売買手続きを完了する。

 パシフィックは綿・合繊短繊維ニットのカジュアル向けを中心に97年に設立、07年には香港株式市場に上場している。丸編みを軸に中国・広州やスリランカ、ベトナムに生産拠点を持ち、編み立て・染色・プリントを手掛ける。

 生機{{きばた}}・染色でそれぞれ月4000万㍍と世界有数の生産能力を持ち、カルバン・クライン、ヴィクトリアズシークレットといった有力ブランドと取引がある。17年3月期業績は売上高約837億円、営業利益約148億円と収益力も高い。

 東レとは大手SPA向け機能インナーを中心に取引があり、共同開発や委託生産を行ってきた。特に高機能ニット生地で「パシフィックの安定的で高品質な生産が東レの糸わた・テキスタイル・縫製品一貫型ビジネスの拡大を大きく支えたといっても過言ではない」(東レ)という。

 東レは中国、ASEAN(東南アジア諸国連合)各国に自前のテキスタイル生産拠点を持つが、大半が織物でニット設備は不足していた。今回の資本参加を機に両社の協力関係の強化と、ニット事業の拡大を進め、「同社の世界有数の生産能力を背景に、東レグループとして新たな大規模ニット事業の構築を視野に入れる」。




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