東レ、NTT 赤ちゃん用「ヒトエ」開発へ

2017/10/03 11:00 更新


 東レと日本電信電話(NTT)は、生態情報をモニタリングできる素材「ヒトエ」で、赤ちゃんを対象にした商品開発に着手している。このほど、全日本空輸(ANA)とベビー用品のコンビとの4社共同で、赤ちゃんが泣かない飛行機を目指すプロジェクトを立ち上げた。1日、商品開発の一環で赤ちゃんを乗せた飛行機が成田と宮崎間をテスト飛行した。

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 ANAによると、「16年度、飛行機に搭乗した3歳未満の子供の割合は国内線が1.6%、国際線は0・8%。潜在的な需要はある」という。ただし、「赤ちゃんがいる家族の中には、機内で赤ちゃんが泣き、周囲の乗客に迷惑がかかることを心配して飛行機利用を避ける傾向にある」のが課題だった。

 プロジェクトの第1弾では、3歳未満の子供を持つ4社の社員を対象に、乗客全員が小さな子連れとなる「赤ちゃんチャーター便」を実施。34家族114人(うち赤ちゃん36人)が搭乗した。赤ちゃんが機内で泣く主因として考えられている気圧変化による耳痛を解消する耳抜きグッズの効果検証と、ヒトエと専用アプリケーションで赤ちゃんの心拍およびその時々の様子をモニタリングした。

 東レ機能製品事業部の浅井英さんは、「生体情報をモニタリングし続けて得たデータに意味がある。ヒトエを嫌がって外してしまい、データを取れないことが不安だった」が、「ある程度のデータは取れて安心した」という。ヒトエを着用した男児(1歳)の母親は「体に巻く時は少し嫌がったが、その後は嫌がる様子はなかった。言葉を話せないので、心拍の動きは何らかのヒントになるし便利だと思う」と話した。

 また、ヒトエと連携したトランスミッターには加速度センサーも内蔵している。どんな向きで、どのように抱き抱えられているかなど体の動きなどの状態を推定できる。これにより、計測・蓄積した心拍と体の状態のデータを解析し、赤ちゃんが感じる快適さや不快さとの関連性を検証する。泣き出す前のアルゴリズムを導き出し、実用レベルまで改良を重ねていく考え。

赤ちゃん用に試作した「ヒトエ」。ベルトの素材は綿・ポリウレタンの編地



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