新宿歌舞伎町に新たな旋風 注目を集める2軒のホテル(ホテルジャーナリスト・せきねきょうこ)

2023/11/14 12:00 更新


東急歌舞伎町タワー

 23年4月14日、東京随一の巨大な歓楽街として知られる歌舞伎町に超高層複合ビルディング「東急歌舞伎町タワー」が開業した。事業主体は東急および東急レクリエーションが手がけ、ホテルとエンタメが融合し、大いに楽しめる日本最大級の施設。ホテル、レストラン、映画館、ライブホール、劇場、エンターテインメント施設などからなる超高層ビルは、地上48階、地下5階、塔屋1階で高さは225メートルだ。

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エンタメの街へ

 歌舞伎町は終戦後、焼け野原からエンタメの街へと変貌(へんぼう)を遂げた。50年代にはすでにジャズ喫茶、スケートリンク、映画館などエンターテインメントの街としての片鱗(へんりん)が誕生していた。00年代に入ると雑多な街となった歌舞伎町にクリーン作戦が実施され今に至っている。しかし、眠らない街が静かになったわけではなく、エンタメの魅力も残されている。今なお特別感のあるこの街に、今度は世界に通用するエンタメ・レジャー施設が開業し未来を担うことになりそうだ。

 中でも話題は、超高層ビル内に誕生した2軒のホテルだ。開業は23年5月19日。ビル自体の開業より一足遅れでドアを開けたホテルは、ビルの18.39~47階に位置するラグジュアリーホテル「BELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotel」、18.20~38階に位置するライフスタイルホテル「HOTEL GROOVE SHINJUKU, A PARKROYAL Hotel」だ。コンセプトを明快に分かち、利用客もタイプが違う。

外国人に人気

 富裕層を対象にし、ぜいたくなペントハウス5室を含む高級ホテルのベルスター東京の全97室に対し、遊び心あふれるホテル・グルーヴはカジュアルでエンターテインメント性あふれる全538室の大型ホテルだ。タイプは違うが、双方とも利用者の多くを訪日外国人観光客が占めている。

 歌舞伎町の人気はすでに浸透しているようだ。超高層ビル施設内で特に斬新なのは、エンターテインメントフードホール「新宿カブキhall~歌舞伎横丁」と銘打つソウルフードの集合体だ。テーマは「祭り」、にぎにぎしいライティングと音楽と食と映像を融合させた全10店舗が「食祭街」を形成。北海道から沖縄、韓国までのソウルフードが集まる世界は印象的だ。パフォーマンスやイベントも開催され、新しい交流の拠点として年齢を問わずにぎわいを見せる。歌舞伎町らしく、エンターテインメントにこだわる「食祭街」はパワフルそのもの。新宿歌舞伎町が、新しい形で今まで以上にエンタメの街として世界にアピールし始めている。

(ホテルジャーナリスト・せきねきょうこ)



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