東京メンズの24年秋冬は、オリジナリティーの詰まったテーラードスタイルが目を引いた。ジャケットのラペルをすっきりと見せて、シルエットをぴりっと引き締める工夫が凝らされる。トラウザーのシルエットが細身になって、大人のエレガンスを感じさせる。
(須田渉美)
「ユウキハシモト」(橋本祐樹)は、産業や工業を意味するインダストをテーマに、人間が作り出した人工物の要素を洋服のフォルムやディテールに反映した。その一つは、「ポルシェ」の911モデルのリア部分のくびれたライン。テーラードジャケットやコートは、ショルダーラインをしっかりと作り、ウエストを程よくシェイプさせた。ダブルブレストの形だが、端を楕円(だえん)形のリングで留めるだけにして、構築的なシルエットの美しさを強調する。伝統的な作りをそぎ落とすことによって、ラフな装いにも合わせやすい、汎用性の高い1着になった。
「ティーエイチプロダクツ」(堀内太郎)は、クラシックな趣を残したミニマルで身近さのあるワードローブを発展させた。テーラードジャケットは、重厚なシルエットを現代の機能的な素材を生かしてデザインする。ツイードのようなツイル風の組織に見えるのは、ニードルパンチを施したポリエステル100%のジャージー。適度なハリがあって、着心地は軽やか。すっきりとした輪郭で袖の内側のプレス加工が映え、エレガントな表情を添えている。