東京ブランドの21~22年秋冬メンズ展示会では、ブランドの背景にあるオリジナルの匂いを感じさせる新作が充実した。レトロで艶のある空気感やストリートのユニセックスのムード、アイテムミックスのハイブリッドデザインなど、それぞれのブランドらしさをアピールする。
(小笠原拓郎)
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「ベッドフォード」は秋冬、どこかレトロなムードに独特の艶っぽさを感じさせるコレクションを見せた。背景には、モノトーンに挟み込んだ褪(あ)せたレッドなどの色使いと70年代前後に活躍したアーティストの浅川マキからの影響がある。アイコンともいえるウェスタンブーツを短くカットしたようなドレスシューズに合わせるのは、緩いフレアパンツ。「テーラードスタイルは今の時代に着ていくところはないけれど、無いと締まらない。自分の中には他のアイテムがない」とデザイナーの山岸慎平。カシミヤ・ウールを使ったテーラードジャケットはラペルを折り畳んだようなディテール。ノーカラーのジャケットも含めて、ユニフォームとしてのテーラードスタイルとは違うデザインで、市場性を意識する。たっぷりのボリュームのメルトンコートにはスプレーでグラフィック柄を描く。その柄が無国籍を感じさせる。セーラージャケットやスエードフリンジジャケットといったアイテムにもベッドフォードらしさが貫かれている。