播州織産地で染め・織り・加工を一貫で行う東播染工は、洗い加工「播州洗い」の設備を新たに導入した。自然なしわ感が特徴で、5月に東京で開いた単独展示会で播州洗いの綿100%を揃えた。「産地のアピールにもなれば」と岡田太社長は期待する。塩素反応で色落ちしない染色「エイジングカラー」の提案も広げる。
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ドレスシャツを得意とするが、カジュアルブランドにも染色から加工までできる強みや日本の技術を伝える狙いで、不安定な事業環境のなかでも「新たな設備投資に挑んだ」。ドレスシャツで求められる形態安定性や光沢感とは異なり、ビンテージ調のしわ感でナチュラルな風合いにした。「『これが播州の洗いです』と言って、多くの人に見てもらいたい」と同社テキスタイルラボプランナーの足立直人さんは話す。
エイジングカラーは家庭洗濯時に塩素反応で色落ちする悩みを解消する。ベージュはデニムメーカーのクロキで採用されている。ネイビーとカーキを加えた。太陽光や洗濯洗剤で変色しないことが消費者の安心感になるとして、色を保てる染色はアパレルからニーズがあるという。エイジングカラーは展示会で反応が良かった。
展示会では、糸商の増井と初めて協業したチノクロスも見せた。増井が販売するウズベキスタン産の綿花ブランド「サマルカンダリア」と組み合わせ、綿花栽培が行われている古都サマルカンドを象徴する紺碧(こんぺき)を表現した鮮やかな青が目を引く。
綿・麻の織物を様々な混率や麻の種類で紹介する企画も見せた。「播州は綿の産地でもあるので、天然繊維の良さを伝えたい」(足立さん)考えで、前回の綿・ウールに続き、毎回テーマを設けている。