播州織産地で、染め・織り・加工を一貫で手掛ける東播染工は、黒色の濃度にこだわり、従来の先染め織物の黒さを超えた染色「ジェットブラック」を開発した。11月に東京で開いた単独展示会で発表した。
「日本の有名ブランドに代表される深い黒は海外で有名だが、今まで先染め綿織物で海外に求められる色の濃さ、深さを出すことは難しかった」として、海外ラグジュアリーブランドに向けて開発した。新たな反応染料を使用したほか、従来よりも長い時間をかけて染めることで、先染め織物で深い黒を実現した。
展示会で提案した生地は大正紡績と協業し、経糸に光沢が特徴のスーピマオーガニックコットンを使用した。緯糸には綿・シルク混もしくは綿・カシミヤ混などを打ち込み、組織もポプリンもしくはツイルなどバリエーションを持たせた。
旭化成と協業し、キュプラ「ベンベルグ」を用いたジェットブラック生地も揃えた。原料メーカーとの協業によるトレーサビリティー(履歴管理)も強みで、今後海外に向けた提案を強めていく。
展示会では他に、新たな洗い加工として播州洗いを披露した。ビンテージ調のしわ感、ナチュラルな雰囲気を表現した。生地在庫などへの加工として、あえて着古したような色合いの変化をさせるビンテージ加工も提案した。