【記者の目】レディスバッグ・財布の秋冬商戦 求められる販促の仕掛け

2020/07/23 06:26 更新


 レディスバッグ、財布市場はコロナ禍で実店舗の営業が中断した影響から春夏物の在庫が膨れ、各社ともセールを早めながら8月以降も春夏物の販売を続ける見通しだ。秋冬物は生産が遅れ気味で、手控えていることもあり、立ち上がりは遅れそうで、9月までは春夏と秋冬を並行して販売することになりそうだ。総じて活性化策に乏しい商戦になりそうで、店頭やウェブ上での仕掛けが求められる。

(武田学=東京編集部ファッショングッズ担当)

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在庫消化には時間

 春夏物のセールはすでに始まっているところもある。百貨店でもSCでも全館統一のセール時期を設けておらず、メーカーやテナントごとにセール時期を決めて実施しており、6月から各社が順次、セールに入っている格好だ。ただ、セールのインパクトが弱く、在庫を消化するには時間がかかりそうで、各社ともおおむね9月までは店頭で販売し、来春夏に再度投入するところも多い。

 秋冬物は春夏物の在庫過多を受け、手控えるところが目立つ。「定番はしっかり押さえながら企画数は絞り込む」(スタイル)、「企画型数は昨年の8掛けに抑えた」(ヤマニ)と絞る傾向で、生産量も抑制する。総じて日常使いの企画にシフトし、厳しいトラベル用途の企画はかなり控えられている。

今春、好結果を出した「スマートピープル」の期間限定店(エキュート品川)

秋物を控える傾向

 一つは春夏物の在庫が増えており、ある程度消化させることが必要で、特に秋物前半戦は残暑も厳しいと見られることから、春夏物も販売して秋物を控える傾向だ。在庫増は資金減となっており、生産への資金投入は抑制される。

 もう一つは生産地がコロナ禍で影響を受けている点だ。特に中国などアジアの生産地がコロナ禍で稼働率を下げたため、秋物生産が遅れている。「稼働に影響がないのはベトナム生産ぐらい」(ヤマニ)で、欧州素材の手配も難しくなっており、各社とも発注を見合わせたり、減らしたりして対応している。

 このため秋冬商戦は8月の盆明けから始まるが、9月あるいは10月まで春夏物が並んでいることから、秋冬前半戦は店頭での秋のインパクトは弱くなりそうだ。企画を絞り込んでいることもあって商品や品揃えの鮮度も感じにくくなりそうだ。とくに厳しいトラベル向け商品は削減され、日常使いの商品にシフトしているほか、比較的堅調な財布などの小物へのシフトがさらに進みそうだ。12月以降、安定した需要の見込める財布のヤマ場は今年も期待されており、財布については企画や量ともに例年に近い水準で準備するところが多い。しかし、バッグはリモートワークに対応した機能性やエコバッグなどが注目されているが、総じて商品が定番物に絞られる傾向で、具体的なキャンペーンなどの需要喚起策を計画しているところは少ない。メリハリのない店頭展開となる恐れもある。

 一部では販促積極策もみられる。サックスバーホールディングスは新業態開発などの積極策を打っている。12月に自社の最上質の新ブランド、新業態を東京・蔵前に出店予定。旺盛に新業態開発を進めているほか、スマートグッズ店など期間限定店も積極的に出していく。同社では全店でスタッフによるSNS発信を始めている。メーカーに依頼している自社専用企画を拡大しており、差別化商品を軸にウェブと店頭を連動させた仕掛けを強めていく。

 サマンサタバサジャパンリミテッドも主力ブランド「サマンサタバサ」で7月からパターンオーダーイベントを組むほか、エコバッグも提案、8月からは機能や使い勝手を追求したバッグをシリーズ化して打ち出す。生地製トートバッグ「サマタバ」も8月末から店頭で仕掛けるなど秋冬序盤戦から仕掛けを多く用意して店頭を盛り上げていく構えだ。

 ただ、全体には決め手に欠けると見ているところが多く、仕掛けにはまだ二の足を踏んでいる状況が見受けられる。冒険的な、あるいは目新しさのある企画や仕掛けではなくとも消費者に発信し、時期や用途、トレンドに即した打ち出しを強めていくことは以前にも増して求められているのではないだろうか。

秋の重点商品の一つデニム風生地バッグ「サマタバ」


武田学=東京編集部ファッショングッズ担当

(繊研新聞本紙20年6月22日付)

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