ベンチャー型事業承継が発足 若手後継者の挑戦応援

2018/06/27 06:26 更新


 「家業というフィールドで新しい挑戦をする全国各地の若手後継ぎを応援したい」。中小企業の若手後継者を対象にした支援を行う一般社団法人ベンチャー型事業承継(事務局=東京都千代田区)が20日設立された。25日、都内で会見を開き、団体について説明した。

 ベンチャー型事業承継は、官民を問わず様々な組織と連携し、主に同族経営企業の若手後継者が受け継いだ経営資源を活用して新規事業や業態転換、新市場参入などの挑戦を支援する。事業内容は、若手後継者を対象にした教育プログラムの提供。行政や自治体、金融機関などからの依頼を基に、アイデアソン(新しいアイデアを生み出すためのイベント)や研修などを開催する。さらに、事業化支援、資金調達支援、企業の体質強化支援にも取り組む。

 ベンチャー型の事業承継で想定される課題に対するアクションプランも示した。事業開発や人材育成については、大阪で既に行政中心に開かれているアイデアソン「アトツギソン」を東京でも開く。中小企業のバックオフィス業務を支援するフリーがイベント協賛、集客、会場提供などで協力する。大学や研究機関との連携も推進する考えだ。資金調達やマーケティングについては、クラウドファンディングサイトを運営するマクアケと連携する。資本参加ではなく、配当でリターンが得られるファンドの設立も検討している。

 代表理事に就任した山野千枝氏(千年治商店社長)は、「団体の目的として、IPO(新規株式公開)をする企業数を何件増やすとか、1兆円企業を作るといったことは全くない。地域に根を張り、新しいビジネスで永続を図るモデルがベンチャー型事業承継だと考えている」と強調。「現在の年商1億円の会社が10億円に成長する――そんな会社を100社、1000社と作る支援を優先していきたい」と語った。

中央が代表理事の山野千枝氏


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