タビオで開発・品質管理・物流機能を担うタビオ奈良(奈良県広陵町)は、ドライバー不足など物流の「2024年問題」に備えた準備を進めている。EC物流への対応強化、多様な働き方の構築、新物流センターの設計などが柱となる。
【関連記事】タビオと大阪府立泉尾工業高校 「ホールガーメント」技術者育成へ授業
全社売上高に占める物流経費は、18、19年度が4%台後半、20、21年度が5%台後半だったが、22年度(23年2月期)は6.04%に上昇。EC物流の増加も一つの要因で、以前は会員登録で送料無料としていたのを22年10月以降は会員ランクにより送料を負担してもらう形に変えている。その半面、ECにおける店頭受け取り比率は21年度の1.45%から1.99%へと上がるなど、OMO(オンラインとオフラインの融合)戦略が一定の成果を上げている。
「秋以降も、どのタイミングで大手物流会社から値上げ要請が来るのかを見守っている状況。今は自分たちができる物流改革を進めていくしかない」(真砂輝男取締役)と危機感は強い。タビオ奈良の隣接地での新物流センター構想を控えており、これに合わせて今後の物流体制を構築していくという難しい時期にある。
新物流センターは開発申請、土地取得を終えたばかりで、概要などはまだ白紙の段階だが、22年度の有価証券報告書では約4億円の物流用地取得費用を投資予定額として計上している。また、これまで全ての物流を奈良で一元化してきたが、2024年問題を背景にした長距離輸送のタイト化やBCP(事業継続計画)の観点などから、首都圏での物流拠点構築も視野に入れている。
中長期の施策とは別に、自社構内で可能な改革は着実に進めている。EC物流の増加を背景にゲートアソートシステム(GAS)を2台導入したが、3台目からは音声指示・プラケース活用方式の自称「TAS」を内製化して対応している。TASでは検品工程が加わるが、ECの出荷ピーク時に柔軟なロケーションが組めるメリットがある。
一番の懸念は今後の人材確保。設立30年余りが経ち、パート社員の主力も50歳以上の人が増えた。従業員は100人強だが、障害者雇用にも早くから取り組んでおり、現在も14人が働く。個々人に応じた働き方改革、短時間勤務や繁忙期の派遣社員活用など「多様な人が働ける環境作りを地道に進めていく」方針だ。