10~20代前半の女の子たちを中心にストリート・スポーツブランドを取り入れたファッションの人気が高まっている。服から雑誌まで売れ行き好調だ。彼女たちが支持する韓国系ミュージシャンや芸能事務所LDHのアーティストがストリートファッションを着ていることが多い。SNSや動画サイトを通じ、今まであまり目にしなかったストリートカルチャーに接触する機会が増えたことなどが好調を後押ししている。
(レディス取材班)
彼氏とお揃い
ビーズインターナショナルの「エックスガール」は、18年2月期の既存店売上高が前期比40%増となった。94年のスタート以降、顧客の年齢が上がっていたため、16年秋にリブランディングに着手。商品のストリート色を強め、アウターで手頃な価格帯の商品を拡充、販促媒体をSNSにシフトするなどして若年層の獲得に成功した。
同社は、メンズブランド「エクストララージ」も好調で、女の子が彼氏や男友達とお揃いで着るためにTシャツやパーカを買う機会も増えているという。
カジュアルメーカーのハイブリッドがライセンシーとして販売するメンズ・レディス「ヴィジョンストリートウェア」も売り上げを伸ばしている。けん引するのがレディスで、10代後半の女の子を中心にコーチジャケットやMA‐1などのアウターがよく売れているという。韓国の男性ヒップホップグループBTS(防弾少年団)の着用がネットで話題となり、日本の女の子たちも着ることが増えたようだ。
有力店と協業
伊藤忠商事が日本でのマスターライセンス権を保有する「フィラ」の国内事業規模は17年も過去最高を更新。小売りベースの売り上げは前年比3%増の235億円に達した。カジュアルウェアがリードし、有力店との協業に積極的だ。若年層の認知度は高いが、さらなる成長へ、このほどフレグランス分野でフィッツコーポレーションとライセンス契約を結び、販売を始めた。
宝島社が00年に創刊した女性ストリートファッション誌『ミニ』は、1月号が16万部、2月号が19万部を売り上げ、2号連続で完売した。10~20代前半向けの雑誌が低迷するなか、同誌は10代の購入者が前年同期比5%増で推移、新規読者の開拓に成功している。母娘で読む30~40代にも支持されている。17年1~6月の月間平均販売部数は14万3572部で、7~12月はこれを上回る見込みだ。
宝島社雑誌局ミニ編集長の見澤夢美さん 「女の子の興味捉え裾野広がる」
『ミニ』が読まれている背景として、ストリートファッション自体が今元気というのもありますが、一昨年ほど前からK‐POPやLDHのアーティストの人気とファッションがリンクし始めたと感じています。
昨年頃から、女性グループのイーガールズなどに所属するダンサーのユリノちゃん、須田アンナちゃんなど、これまで表紙に出てこなかった髪色やメイクの派手な女の子を積極的に起用しています。これがハマり、それまでミニをよく知らなかった子も興味を持ってくれて、読んでみたら面白かったと裾野が広がっています。
昔は他の雑誌に比べてターゲットが狭い印象がありましたが、今はミニみたいな服装の子は多い。しかし、載っているブランドはそんなに変わっていないんです。私自身もK‐POPが好きで、日本ではやっているものは韓国の影響も多いと肌で感じていて、それもうまく雑誌に反映できているのだと思います。韓国はスポーツブランドをデイリーに着るし、ユニセックスっぽい商品もよく見かけます。
若い子に響く付録も重要です。最近ではコスメの付録も好評でした。「エックスガール」のネイルを11本セットで付けたところ、見た目のインパクトもありSNSにたくさんの読者が投稿してくれました。