クリエイターが自由に作品を投稿できるSNS(交流サイト)を運営するスタートアップ、スプリング・オブ・ファッション(東京、保坂忠伸社長)は今秋、デザイナーブランドの商品を初回限定で割引購入できるECサイト「ソフデザイナーズ」をスタートする。
価格が理由でデザイナーブランドを購入できなかった消費者に対し、ブランドと商品を知るきっかけを創出し、業界の活性化につなげる考え。21日にティザーサイトをオープンし、10月中旬に正式スタートする予定だ。
初回確認を厳格化
同サービスは、消費者がソフデザイナーズで初回限定の割引チケットを購入し、そのチケットを各ブランドの展示会や同社が主催する合同展示会で使用、商品を注文するというもの。チケットの割引率は商品の合計金額に応じて設定しており最大で40%オフ。チケット購入の際に本人確認証の提出を必要とすることで、初回購入かどうかの確認を厳格化している。ブランド側は新規顧客の開拓につながり、展示会での受注になるため生産数量を見極められるというメリットもある。
サービスを展開する上で重要なのが小売店からも理解を得ること。「消費者が直接展示会で購入する仕組みだけに着目すると『店舗の中抜きになるのでは』という指摘もあると思うが、決してそうではない」(保坂忠伸社長)。同サービスでは、消費者が2回目以降に購入する場所はブランドの卸先店舗を想定している。店舗への送客策として、同サイトで購入したユーザーに向けて店舗情報などをメールで告知するほか、同社が立ち上げるウェブメディアでも情報発信する。また、ブランドは小売店が買い付けた商品をソフデザイナーズには出品しない選択も可能なため、消費者の奪い合いにならないようにもできるという。
業界全体の活性化へ
「ファッション業界の同質化を解消できるのはデザイナーズブランドが生む個性。だが、今の消費者にはどうしても価格がネックになる。まずは一度、袖を通す機会を作り、デザイナーズブランドと消費者の距離を縮めたい」と、保坂忠伸社長は話す。「1回でも購入すれば良い服が高い理由も分かるし、ファッションへの関心が高まる。ファッション好きの母集団を広げたい」という。「デザイナーズブランドが活躍すれば、国内産地の活性化にもつながる。ファッション業界全体の活性化につなげたい」と意気込む。
現在決定している参加ブランドは「エルザ・ウィンクラー」「コトハヨコザワ」など約10ブランド。本オープン時には20~25ブランドの取り扱いを目指している。サイト登録者が参加できる同社主催の展示会の初回は11月3日~5日、渋谷で開催する予定だ。