スナック菓子が絶好調の理由 6000億円市場視野に(日本食糧新聞社・青柳英明)

2024/06/04 12:30 更新


スナック菓子は売り場でも大きな棚を占める

 スナック菓子市場が絶好調だ。23年の小売価格が初めて5000億円を突破した、その勢いが24年に入っても止まらない。全日本菓子協会が公表した23年のスナック菓子の生産数量は28万8489トン、前年比2%増、生産価格は3752億円で12%増、小売価格は5304億円で11.2%増だった。

インバウンドにも期待

 KSP-POS(販売時点情報管理)データによる24年1~3月の店頭販売額は前年同期比9.5%増、販売数量は2.9%増と好調を持続。平均売価も6.4%増となり、着実に単価向上が進む。同データで、23年の販売数量は前年比0.8%減だったが、24年1~3月は前年同期比2.9%増となっており、価格改定の影響による需要減から脱却した。仮に24年通期で前年比10%成長すると6000億円市場が射程に入る。日本人のスナック菓子の年間消費量は22キログラムで、米国に続き世界2位。米国では主食的な位置付けで、塩味が多い。多彩な素材と食感、フレーバーを誇る日本のスナック菓子は訪日観光客にも人気で、今後インバウンド需要のさらなる増加にも期待がかかる。

 好調の要因は複数ある。一つは23年の北海道産ジャガイモ収穫量が堅調で、原料調達に不安がなく、生ジャガイモを原料とするポテトチップス製造メーカー各社が、積極的な販売促進策を実行できたことだ。また、17年に発生した道産ジャガイモ不足以降、各社は、ポテトスナック依存からの脱却を目指し、市場で2番目に大きいコーンスナックの商品開発を強化、豆などの新たな素材の開発も進めた。これにより、ポテトスナック以外のサブカテゴリーの商品力が高まり、市場の成長をけん引した。

食事代替の役割も

 社会環境やライフスタイルの変化も追い風だ。スナック菓子市場は、コロナ禍の巣ごもり需要で20、21年と市場を拡大していたが、それぞれ前年比0.2%増、1.8%増と低い水準にとどまっていた。22年の行動制限の解除、全国旅行支援の開始、水際対策の大幅緩和による社会経済活動の回復やそれに伴う人流の活発化などで、需要が活性化、さらに土産需要増加の影響も一定程度受けた。23年は、こうした状況が加速し、スナック菓子の需要は増加し続けるだろう。

 ライフスタイルの変化では、朝食・昼食・夕食のシームレス化が進んだことに加え、多忙な現代人は「タイパ」という言葉に代表されるように、相対的に食事にかける時間を「節約」する傾向にある。こうした変化にスナック菓子の持つ簡便性と腹持ちが良い食事代替としての価値がフィットした。

(日本食糧新聞社・青柳英明)



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