中小企業庁 下請企業取引条件の「振興基準」改正

2019/01/15 06:28 更新


 中小企業庁は下請中小企業の取引条件改善のため、下請中小企業振興法第3条第1項に基づく「振興基準」を改正した。下請企業や繊維、小売業を含む各業界団体などへの取引実態調査で出た課題に対応した。下請事業者に発注する親事業者に対して、契約条件の明確化と書面交付の徹底、大企業間取引や下請事業者に対する支払い条件の見直し、「働き方改革」の推進などを求める項目を新たに加えた。

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 契約条件の明確化と書面交付については、「親事業者は発注内容があいまいな契約とならないよう、下請事業者と十分な協議を行った上で、納期や価格、運送費などの付随費用、支払い手段・期日などについて、書面などによる明示、交付を徹底する」と明記した。

 支払い条件については「親事業者は下請事業者の資金繰りについて関心を持つことに努める」とした上で、「大企業間の取引で支払い条件が改善されない結果、下請中小企業への支払い方法の改善が進まない事象がある場合、大企業は率先して手形などのサイト短縮や現金払いなどを進める」ことを求めた。また、型・治具業者に対する支払いに関して、「親事業者が製造を委託し、受領した日から60日以内に代金を全額支払う」ことなどを加えた。繊維業の下請代金の支払いにかかわる手形などのサイトについては、従来通り、「90日以内は当然とし、将来的には60日以内とするよう努める」とした。

 働き方改革については、「親事業者は自らの取引に起因して、下請事業者が労使協定の限度を超える時間外労働や休日労働などによる長時間労働、これらに伴う割増賃金の未払いなど労働基準関連法に違反することのないよう、十分に配慮する」とした上で、親事業者が短納期や追加発注などを下請事業者に要請し、下請事業者の残業代支払いが発生した場合、「親事業者が負担する」とした。さらに、「親事業者は下請事業者の働き方改革を阻害し、不利益となるような取引や要請を行わない」ことを求めた。



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