3月1日から24年卒の就職活動が解禁されました。コロナ禍に高校・大学に入学した若者が不安と期待を持ちながら社会人としての第一歩に向けて動き出しています。
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必要なのは寄り添い力
一方、Z世代は96年~12年の間に生まれた人たちを指すため、すでに社会人としても活躍している人も少なくありません。最近、シブヤ109ラボには「働く仲間としてのZ世代」に関する課題を抱えた企業からの相談も増えています。特に彼らとのコミュニケーションや育成方法に関してアップデートが必要だと悩まれている印象です。
先日、18~26歳のZ世代社会人411人を対象に調査を実施しました。「理想の上司像」を聞いてみると、「わかりやすく丁寧に教えてくれる」「相談しやすさ」などがあがりました。そして、リモートワークも普及した今、チャットなどオンラインでのコミュニケーションにおいても同様の回答がみられています。これまでのインタビュー実績でも、「『いいからやれ!』というような詳細な説明がされない〝背中で語る系〟のコミュニケーションは、何を求められているのか判断ができずに困ってしまう」という声もありました。上司にはリーダーシップや威厳、けん引力よりも、部下に寄り添う姿勢が求められています。
褒めるときも個別で
また仕事において「大勢の前で褒められたい」(38.7%)というよりも、「大勢の前では褒められたくない(個人的に褒めて欲しい)」(61.3%)という価値観を持っていることがわかりました。私自身もこれまでマネジメント研修で、「褒める時は大勢の前で、叱るときは個別に」と教えてもらっていたのですが、フィードバックの方法も変える必要がありそうです。
この理由について、グループインタビューでは「大勢の前で褒められると、周囲の期待を集めるので嫌だ」「1on1で褒められたい。褒められると、自分を気にかけてくれていたんだと思えるし、自分がやっていることが正しいと安心できる」などの声が聞かれました。
周りの目に対する意識が非常に高い彼らは、ポジティブなフィードバックもプレッシャーに感じてしまうことがあるようです。Z世代だけでなく、社会全体で仕事や働き方に関する価値観は多様化しています。企業の制度やマネジメントにおいて、これまでの画一的な育成体制や働き方を押し付けるのではなく、「個」に目を向け、育成・コミュニケーション方法をカスタマイズしていくことが求められています。