【シブヤ109ラボ所長の#これ知ってないとやばみ】⑥

2019/03/02 06:45 更新


 ユーチューブやTikTok(ティックトック)、アベマTV--動画サービスの隆盛に伴い、アラウンド20(15~24歳の男女)と動画コンテンツの接触頻度は格段に上がっています。

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 先日発表した「JK生活価値観調査レポート」(※女子高生800人を対象としたウェブ調査)のなかでも、普段に時間をかけていることの第1位は「動画視聴」という結果となりました。動画コンテンツは彼女たちの生活には欠かせないものになっていることが分かります。

女子高生の9割が視聴

 数ある動画サービスのなかで、女子高生のスマホ上で最も利用されているのはユーチューブです。女子高生の約9割が利用しており、ゲーム実況や美容系、ブログ系、やってみた系など、様々なジャンルの動画が日々アップされています。彼女たちは主に動画のタイトルで見たい動画を判断し、視聴しているようです。

 次いで多く利用されているのはインスタグラムです。ストーリー機能が登場してから、「動画の視聴場所」としても認識されるようになりました。最近はインフルエンサーを中心に、フォロワーに対して動画を配信できる「ライブ配信機能」を使った投稿も増えてきており、コメントを介してリアルタイムでコミュニケーションが取れることが魅力となっています。

 また、3位にランクインしているアベマTVでは、1月のこの連載でもご紹介した「シブヤ109ラボトレンド大賞2018」の「ドラマ・番組部門」にもランクインした、「オオカミくんには騙されない」や「恋する週末ホームステイ」などの「恋愛リアリティーショー」が人気です。番組内で成立したカップルは番組終了後もSNSで話題となっていて、ここから新しいスターが誕生する流れもできています。アベマTVでは、視聴者がコメント投稿や投票をすることができる「参加型コンテンツ」が多いことも魅力の一つです。


テレビとは違う

 この「視聴者が参加できること」は、女子高生が高頻度で視聴している動画コンテンツの共通点であり、欠かせない要素でもあります。

 配信者と視聴者、もしくは視聴者と視聴者の間で生まれるコミュニケーション、つまりコンテンツをさらに盛り上げていくという「共創スタイル」が、彼女たちの心をつかんでいると言えるでしょう。また、彼女たちは動画サービスに対して、「コンテンツを視聴する場」というよりも、「コミュニケーションの場」であるという意識が強く、SNSに近い感覚を持っています。「ユーチューブ対テレビ」という構造をよく目にすることがありますが、現代の女子高生にとって、テレビと動画サービスは、似て非なるものなのです。

●長田麻衣(おさだ・まい)
 シブヤ109ラボ所長。総合マーケティング会社で、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て現職。毎月200人の若者と接する毎日を過ごしている。好きなものは、うどん、カラオケ、ドライブ。今年の目標は、若者に関する講演に講師として登壇すること。そして大人っぽさと透明感を兼ね備えた女性になること。

(繊研新聞本紙2月8日付)



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