繊研新聞が日々発信するニュースには、経営者やデザイナー、職人、販売スタッフなど、様々な人々の「言葉」が満ちています。
【「言葉」で振り返るファッション業界】では、熱のこもった言葉たちをひと月ごとに振り返り、ご紹介します。
新しい驚くようなものも出す
レスポートサックCOO=最高執行責任者=トーマス・ベッカーさん
世界で認知が広がるバッグの「レスポートサック」。日本のチーム(レスポートサックジャパン)との強いパートナーシップをもとに、日本で35年活動できていることを誇らしく思う。「トム・ブラウン」のCEO(最高経営責任者)時から、日本の消費者は商品に対する理解が深いと感じていた。それに見合う努力は、他国の市場に対しても伝えることを可能にするという。
(繊研新聞本紙22年12月1日付3面)
自分都合でお願いするのは違うなと思って
「ビィウィッチ」デザイナーの藤堂有香さん
渡米時にウェスタンブーツに魅了された。帰国後、洋服ブランドを手掛けたのち、パーティーシーンでも履けるウェスタンブーツ「ビィウィッチ」を立ち上げた。たびたび納期遅れをする職人が兼業農家と知り、無理強いをやめた。SDGs(持続可能な開発目標)の広がりもあり、受注生産だけに切り替えた。本当に欲しい人は待ってくれる。そうした人だけに届けるようにすると、キャッシュフローが改善され、持続可能な結果をもたらしたという。
(繊研新聞本紙12月7日付8面)
縁が時代を超え、もう一度つながった
スマイリーアース社長の奥龍将さん
綿花の有機栽培を全土に広げたいウガンダ政府の意向に賛同し、ウガンダ産オーガニックコットン(OC)の日本国内の需要拡大に挑む。その活動がヤマトインターナショナルとの取り組みで進展した。ヤマトインター元副社長の柏田雄一氏は、ウガンダとの友好親善に尽力し、同国の繊維産業における父とたたえられる。だが同社では彼の退社後、ウガンダとの関係が途絶えていた。「自分が生まれる前からの縁が時代を超え、もう一度つながったことが感慨深い」と、これを機にウガンダ産OCの市場を丁寧に育てていく。
(繊研新聞本紙12月21日付7面)
気を緩めず新たな挑戦を続けていく
美成産業社長の宮脇徹さん
22年12月、父からファンデーション製造会社の社長を引き継いだ。会社はリーマンショック以降に低迷し、生き残りをかけて厳しい選択を迫られた。「選択と集中」で粗利の取れる事業に絞り、16年にオリジナルのインナー「美レーヌ」を立ち上げ、量販店向けのビジネスモデルを転換。その後もトランスジェンダー向けインナー、海外向けロリータ風下着などを次々と開発。安定収益が確保できるようになった。粗利の高い自社ブランドは収益を改善させたが「順調なビジネスも3年は続かない」と気を引き締める。
(繊研新聞本紙12月22日付1面)
社会的な価値を生むことを目指していく
フードリボン社長の宇田悦子さん
フードリボンは未利用の農作物を価値ある素材に生まれ変わらせ、生産者と消費者まで全てをつなぎたいとする。19年から収穫後に廃棄されてきた膨大な量のパイナップルの葉を有効活用した繊維事業を始めている。パイナップルの国内生産量は沖縄県が98%を占める。製造業の少ない同県で、地域資源から天然繊維を抽出する新たな産業と雇用の創出を目指している。この考えと技術をグローバルに広げることが目標だ。