ようこそ、社長室へ 自身を鼓舞し癒やす心のオアシス

2020/01/14 06:30 更新


Medium senken

【センケンコミュニティー】ようこそ、社長室へ 自身を鼓舞し癒やす心のオアシス

 社長室は、社長の人となりや人生観が凝縮された部屋と言っても過言ではない。孤独になりがちな社長にとって、時には自身を鼓舞し、時には心を癒やす存在だろう。今回は、個性が爆発する創業社長の部屋や、歴代の品を脈々と受け継ぐ社長の部屋を紹介する。

【関連記事】ブランド愛の伝道師 キャリアと共に育んだ信頼と自信

【マッシュホールディングス】猫が悠然と歩く

 東京都千代田区麹町にオフィスを構えるマッシュホールディングスの近藤広幸社長の社長室は、洗練されたインテリアの数々が目を引く。「ハーマンミラー」「ウィルクハーン」などのブランドを中心にそれらの特徴を継いだオリジナルデザインのデスクやキャビネットなどで構成された、シンプルかつ深みのある空間にまとめているという。

 そんな社長室に実は最近、2匹の猫がいる。19年4月生まれ、7月に〝初出社〟した「マシュマロ」は、スコティッシュフォールドのメス。「天真らんまんな、目に入れても痛くない、むしろ目に入れたい可愛い猫」と話すほどの溺愛ぶりだ。12月からは、9月に生まれたばかりのマンチカンの「ポテト」も加わり、こちらは「人懐っこく、いたずらっ子。何度もマシュマロに果敢に挑み返り討ちにあう、遊びたい盛りの男の子」という。

洗練されたインテリアの空間におしゃれな猫のおうちも設置した

 2匹とも近藤社長のファミリーで、猫を飼うのは20年ぶり。「猫が好きすぎて毎日猫のユーチューブを見続け、こんなことならやっぱり飼おうと決心しました」とのこと。社長室では打ち合わせをしていることが多いため、2匹が自由に過ごせるよう放し飼いにしている。「私自身もそうですが、一緒に打ち合わせをする訪問客や社員も癒やされているように感じます」。社長室のなかを悠然と歩く猫の姿はなかなかシュールだが、とにかく可愛い。

 ちなみにマシュマロは〝猫プレス〟としても活躍しており、「スナイデル」「ジェラートピケ」などの撮影をお手伝い。インスタグラムのアカウントもある。ジェラートピケとマシュマロの協業商品も発売予定という。

近藤社長が愛してやまないマシュマロ(右)とポテト。一緒に〝出勤〟している

【マスターリング】趣味の話題で深める親交

 奈良県天理市のマスターリングは創業1907年の老舗だ。

ミセス対象のセレクトショップの「メインリング」や「セオリー」などのFCを奈良、和歌山県下で11店持つ。松田和義社長が〝憩いの場〟とする社長室は、人生で何に熱を入れてきたのかひと目で分かる場所だ。

 入室してまず目に入るのが、ドラムセット。その周囲にはエレキ、フォークギターが立て掛けられ、ロックファンにはなじみの「マーシャル」のギターアンプもある。学生時代にロックバンドをやっていた松田社長が、いずれ仲間とこの部屋で演奏できればと思い、楽器を置き始めた。

 奥壁の棚には100キロメートルマラソンを含むマラソンの完走証が飾られている。学生時代に賞状などに縁がなかった自分が、努力を重ねて頑張った証しとして自らを奮わせるために目に触れる場所に並べている。キャビネットの中にはミニカーや車関係の雑誌のほか、組み立てると75センチにもなるアポロ11号とサターンロケットの模型キットが入っており、いずれ組み立てて飛んでいるように飾りたいと思っている。

楽器類や完走証が並ぶ奥壁。その対面はプロジェクター投影可能。他のキャビネットには鉄腕アトムの組み立てキットなども

 最近、自分の生まれた58年製のギターや時計なども集め始めており、いずれは飾りたいという。同時代をともに頑張ってきたと思い、幸せな気持ちになるそうだ。

 この部屋は約10年前、商談スペースが必要とフリースペースだったフロアを壁で区切って作った。そのため「決済をする社長室と言うより商談室としての利用が多い」。だが話題は仕事以外になりがちで、とくに同年代には音楽や車、マラソンなど同じ趣味を持つ人が多く、話が進んでしまう。その延長で、単なる取引先が仕事以外も相談する友人となることも多い。松田社長にとって「ともに楽しめる話題を通して、人とのつながりを深くしてくれる」至福の部屋だ。

「自分の年代は所有欲が強い人が多いかも」と笑う松田社長

【ルックホールディングス】ミニマルでスマート

 ルックホールディングス(HD)の社長室は、ミニマルでスマート。しかし、そこには業績回復への道のりを知る家具が揃う。

 同社は昨年10月に、本社を東京・中目黒から赤坂に移転したばかり。社長室に入ると目に付くのは、キャビネットの上にある「お客さま第一主義」の理念。室内のテーブルやチェア、キャビネットなどのインテリアは新調せず、同社の先々代の社長の廣田夏彦氏から、先代の牧武彦氏(現相談役)へ、そして現在の多田和洋社長へと受け継がれたものを使用している。多田社長は「SDGs(持続可能な開発目標)の時代に合わせて、移転しても廃棄せずに活用することを考えたんです」と、さり気ない。室内には同社の事業構造改革時代から、安定的な収益確保に向けた取り組みや、18年1月の持ち株会社体制への移行など、現在に至るまでの経営の変遷を歴代のトップとともに歩んできた家具たちが囲む。

窓の外には六本木ヒルズや東京ミッドタウン、その後方に東京タワーが見渡せる

 ルックHDは昨年7月に、伊革製品ブランド「イルビゾンテ」を展開するビゾンテイタリアホールディングスの全持ち分を取得して子会社化した。この効果もあり同社の海外市場における売り上げ比率は19年12月期には全体の約4割の水準に達する見込み。室内に置かれたアンティークなデザインの地球儀にはグローバルなビジネスを目指すルックHDの経営姿勢が窺われる。

 社長室は普段は社員からのプレゼンテーションを受ける場としても活用する。「時には世間話も行うことも」。社長室の扉は常に開かれており、経営トップ自らが風通しの良い社風を実践する。室内がシンプルなだけに「今後、何か加えたいものは」と尋ねると、「今のところは特にありません」とのこと。ミニマルな社長室であることが、多様なアイデアを持ち込むベースになるのだろう。

アンティークなデザインの地球儀は歴代の社長から引き継がれたもの

【マーキーズ】アンティークが作る温かみ

 アメリカやハワイから買い集めた品々が飾られた室内は、まるでアンティークショップのよう。何が置いてあるのか目を凝らしたくなる楽しい雰囲気は、運営する子供服専門店「マーキーズ」とも重なる。

 マーキーズは廣畑正行社長が91年、大阪・堺市の小さな路面店からスタート。アメリカの古着の子供服や雑貨を揃えた店は珍しく、おしゃれなママを中心に人気が広がった。当時は看板やディスプレーなども自分たちで手作り。奥さんがデニムをパッチワークして作った看板やスタッフが作った服を着せた人形など、役目を終えたものたちも「捨てるには忍びないでしょ」とこの部屋に飾られている。

廣畑社長の奥さんが手作りした看板など、創業当初のディスプレーも残している

 1号店で使用したフランス製のトルソーやビンテージの子供服、オーストラリアの大橋巨泉の店で買った地図など、一つひとつにエピソードが詰まっている。「ミッドセンチュリーの時代のものが好き。古い年代のものって、味があるから」。その味が温かみのある雰囲気を作り出し、来客からも「落ち着く」と評判だ。

 店舗数が40を超えた今でも、内装や品揃えは社長自らが監修し、立地や時代に合わせてアレンジする。オリジナル商品が増えたが、仕入れの比率は25%を維持。SPA(製造小売業)が勢力を増すなか、高い物から手頃な物まで揃っている店として、子供服業態でも唯一無二の存在感を放つ。「店は常に楽しさや憧れが感じられる場所であるべき」という思いの原点が、社長室には詰まっている。

ミッドセンチュリーの雰囲気漂う室内には、各国から買い集めた品々が飾られている

【レプレゼント】自ら描いた絵画に囲まれる

 社長室はもちろん、オフィスの至る所に絵画が飾られ、ほとんどギャラリー状態――。絵画の描き手は生活雑貨の低価格業態「オーサムストア」を運営するレプレゼントの堀口康弘社長。若い時に本気で画家を志していた時期があり、その頃から現在まで、ずっと描き続けている。描きためた油絵やアクリル画の作品の中から、印象派的な作風から抽象画まで15枚以上がオフィス内に飾られる。そのうち4枚が社長室にある。「絵を描いているときは無心になれるので、ストレス発散にもなる」という堀口社長は、壁一面ほどの大きなサイズに挑むことも。集中すると寝食を忘れて打ち込むのは若い時から変わらないらしい。

応接室や会議室、廊下などにも絵画が飾られ、オフィス内がギャラリー状態

 オーサムストアは6年前に東京・表参道に1号店をオープンして以来、プチプラ雑貨ブームの波に乗り、商業施設などに出店し、50店以上まで拡大した。3年以内に100店を目指している。ビジネスの中核を担う商品開発には社長自らが携わる。新作のインテリア雑貨では自らデザイン画を描き、立体物のサンプルまで製作するこだわりようだ。

 「アートを身近に感じてほしい」との思いも強く、昨年オープンしたオーサムストア池袋店でネオポップアートのコーナーを設け、新進アーティストの作品をインテリア雑貨として商品化している。抽象画をプリントした複製であれば空間になじみやすく、価格も手ごろでシーズンごとに気軽に掛け替えられる。

 欧米と比べ、アートビジネスが成立しにくい日本では若いアーティストも育たない。だからこそ、育てる仕組みが作れれば、ブルーオーシャンなのかもしれない。近い将来、「日本の若いアーティストを世界に発信するようなアートビジネスにも挑戦したい」と夢は広がるばかりだ。

堀口社長が若い時から描きためた絵画が飾られる社長室

Bnr counter agreement
Bnr denshiban

この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事

Btn gotop