大手セレクトショップで、古着を品揃えに取り入れる動きが目立つ。90年代のブームを知る世代だけでなく、当時を知らない若い世代にも一点物の古着をオリジナルや仕入れブランドと組み合わせて提案、個性的なコーディネートができる特有の魅力を伝える。路面の旗艦店などへ集客する狙いがある。昨年春ごろから目立つ動きだが、売れ行きが好調な店も多く、今秋以降、さらに広がりそうだ。
ビームスはメンズカジュアルの旗艦店、ビームス原宿で昨春から古着を販売し始めた。同店は2年前から半年ごとにシーズンテーマに沿って1階のメインフロアを改装しており、昨春はミリタリー切り口の一角としてMA―1などの古着を、新品の仕入れ商品やオリジナルに混ぜて陳列した。
独特の雰囲気
同社のメンズカジュアルはここ数シーズン、90年代ストリートがテーマ。当時はやったものの一つに古着がある。旗艦店の品揃えに実物の古着を加えれば、仕入れブランドやオリジナルだけでは醸し出すことのできない、独特の雰囲気や匂いを演出することができると考えた。
この試みは好評で、新品と合わせて古着を買い求める客も多かったため、昨秋の改装の際はさらに古着を増やし、デニムやネルシャツなどにも扱いを広げた。今春はハワイアンシャツやTシャツなどを集積した。1枚で数万円の商品もあるが、大人の愛好家だけでなく、若い世代の購入も目立つ。
ユナイテッドアローズが4月末、東京・青山にオープンした「Hビューティ&ユース」は「セレクト離れ」した大人世代に向けて作ったコンセプトストアだ。仕入れ商品の分量を増やし、ユニセックスで構成した売り場の一角には、専用の什器を使った古着コーナーも設けた。
数千円のTシャツから十数万円の希少なビンテージまで揃えたが、価格帯を問わず売れ行きは好調。オープンから1カ月で追加仕入れを3回かけた。新品の服同様、ゆったりした売り場に見やすくディスプレーしてあるため、マニアだけでなく、古着屋にはあまり足の向かない大人の女性客の購入も多い。
(繊研 2016/06/21 日付 19495 号 1 面)