繊研新聞社が服飾系専門学校の学生を対象に行った「ファッション意識調査」(回答数1269人)で、前回に続き、ファッションの参考として「フォローしているインフルエンサー」について聞いたところ、ユーチューバーでアーティストのあさぎーにょさんが2年連続で1位になった。上位の顔ぶれを見ると、デザイナーなどファッション業界人は少なめで、ユーチューバーやモデル、ミュージシャン、SNSのフォロワーが多い俳優やタレントなど幅広い分野からランクインしている。好きなブランドを聞く設問などと比べ回答率が低いものの、一部の学生の傾向を示す指標として紹介する。
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多様化で票が分散
1位のあさぎーにょさんは、クリエイティブアーティストで、ポップで温かい世界を表現するアパレルブランド「ポピー」のディレクター。SNSの総フォロワー数が300万人を超える人気ユーチューバーで、前回に続いて1位。2位のせいらさんは昨秋、『ViVi』専属モデルに抜擢(ばってき)され、TGCにも出演した若手モデル。5人組人気ユーチューバー、コムドットのリーダー、やまとさんの妹で、同世代から注目される存在のようだ。モデルでは、青文字系雑誌で人気の柴田ひかりさんも、前回12位から5位に浮上した。
ファッション業界人では、「ページボーイ」の販売員から広報を経て、2月にブランドディレクターに就任したHinechiさんが3位と健闘。コーディネートアプリ「ウェア」主催のアワードで21年春、ショップスタッフ賞を受賞したコーディネート力が支持された。ポピーなどのパタンナーで、自身のブランドも持つ榎本紀子さんも9位で、トップ10入りを果たした。
3位のかてぃさんはミュージシャン、9位にはシンガーソングライターのあいみょんさんと、歌手兼タレントのあのちゃんがランクイン。俳優の仲里依紗さんが5位、タレントの渡辺直美さんが9位と、インスタグラムのフォロワー数ランキングで常に上位の2人も10位内に入り、有名人を参考にする学生も目立つ。ユーチューバーでは、5位のけみおさん、そわんわんさん、9位の中町綾さん、カワグチジンさんも上位に入り、学生の関心の多様さを反映して票が分散する結果となった。
断トツのインスタ
「ファッション商品の購入やスタイリングの参考にするSNS、情報源」についても前回に続いて聞いたところ、「インスタグラム」が86%と高い回答率を維持し、2位に大きく差をつけての1位。2位は画像共有サイト「ピンタレスト」で36%、3位は「ティックトック」で31%と、ともに前年より11ポイント増え、ほぼ3人に1人が参考にすると答えた。
一方、4位の「雑誌」は22%で4ポイント減少し、前年の2位から順位を下げた。5位「店舗やブランドのホームページやブログ」は18%、6位「ユーチューブ」は3ポイント減少して16%となり、5位と6位は前年と順位が逆転。インスタ、テイックトックなど、より短時間で手軽に情報を入手できる媒体が人気のようだ。7位の「ウェア」は前年比1ポイント減の6%だった。
初めて「ファッション商品の購入時、利用することが多いのは」を3択で聞いたところ、「リアル店舗」「インターネット」が36%で同率、「同じくらい利用している」が28%だった。
リアル店舗を利用する理由は「素材などを見て、サイズなども試着して確認したい」「店員さんとの会話が楽しい」「ネットは支払いが面倒」などの声が多かった。ネットで買う理由は「店に行く時間がない」「海外ブランドや古着、アーカイブなどネットでしか買えない物を購入する」「在庫情報が分かる」「人と会わなくて済む」「値段が安い」などの回答があった。ポイントの付与による割引、後払い可能などの利便性もネットの魅力で、試着したい物は実店舗、安く買いたい時はネットなど、使い分ける人が多いようだ。