【販売員のやりがいってこんなところ】「ラグナムーン」ルミネ新宿2店副店長 深井凜さん 客に寄り添い生活を彩る

2025/05/15 05:29 更新


接客の指導をメインに、現場の指揮も執る深井さん

 衣食住の一つであるファッション。来店してくれた人の生活にわずかでも直接触れる仕事だからこそ、販売員は難しくて楽しい。副店長として店舗運営を支えながら、より良い接客提案のために努力を続ける2人の販売員に、仕事のやりがいについて聞いた。

 マークスタイラーの「ラグナムーン」ルミネ新宿ルミネ2の店舗で副店長を務める深井凜さん。全社の年間最優秀販売員賞の受賞歴もある接客の実力者だ。現在は接客の指導のほか、1日の目標数値の共有や行動指針の指示も行う。「売ろうとしない」ことが深井さんのスタンスだ。

指導者のバトン引き継ぐ

 1日の仕事の始まりは朝礼から。店長が立てた週の目標に沿い、今日の目標共有や一人ひとりに合わせた行動指針の指示を出す。「今はバリバリ接客しつつ、指導をするのがメインの仕事」になっている。

 深井さんが勤務する店舗では、一人の新人スタッフにつき一人の先輩スタッフが教育や業務のサポートに付く「シスター制度」を採用している。一人が複数人を担当する場合もあるが、新卒や中途採用にかかわらず、キャリアが長いスタッフが教えていく仕組みだ。深井さんはアルバイトと正社員での経験を含め、約4年で現職に就いた。

 役職に就くまでの期間は人によって異なる。実績や業務への姿勢などを総合的に評価し、平等に判断する。同社への入社を決めたのも、そんな評価制度に魅力を感じたからだ。服飾系の短大に通いながら同社別ブランドでアルバイトをしていた頃、当時の先輩から「やりたいことを伝えると相談に乗ってくれ、協力してくれる会社」と聞いたことが決め手になった。

 22年の卒業とともに、新卒として正社員に登用された。一時ヘルプとしての派遣期間を除き、ずっと同店で勤務している。かつて聞いた話の通り、新卒として入社以来、「きちんと一人ひとりに合わせて指導をしてくれた。人としても成長できた」と振り返る。

 特に、接客の指導だけでなく、落ち込んだときに支えてくれた店長の存在は大きい。「この人のために頑張りたい」。そんな風に思える上司と出会えた。成長を楽しみにしてくれていた店長とは、今では店長・副店長の関係に。次は自分が「スタッフから信頼される上司になる番」だ。

落ち着いた雰囲気で、大人の女性客が多い「ラグナムーン」ルミネ新宿2店

全てはお客様のために

 販売員の魅力は「(ブランドの中で)お客様に唯一関われるところ」と深井さん。「服は生活の一部。一人ひとりのライフスタイルや予定に合わせて提案し、それを着ている姿を想像するとわくわくする」という。そのため、「『売る』という志向にとらわれず、お客様のためになると思ったことをする」。必要でないと感じたものは押し売りしない。どんな顔つきで入店したか。そのときの入店速度は。何の商品を見ているか…。様々な角度で観察し、声掛けをするのが基本姿勢だ。

 「数字が全てではない」と信じてやっていると、自然と結果が付いてきた。新卒入社から2年目の23年度には、全社員を対象にした授賞式で年間最優秀販売員賞を受賞。東ブロック(関東圏)の個人売り上げで1位を獲得した。SNSの個人アカウントは持っていない。純粋に店舗に訪れた人と向き合い続けた結果が、このような形として表れた。

 「お客様に喜んでもらえたときの感動は販売員しか味わえない。ここで『売る』だけでないやりがいを見つけられた」と笑顔を見せる。

 次の目標は、もちろん店長。教育面では「伝えたことを理解してくれているか、一人ひとりに合った指導ができているか」とまだまだ悩む日々だが、販売員のだいご味は誰よりも知っている。「ずっと現場でやっていきたい」と未来を見据える。

■ここがすごい!

 「お客様に寄り添った接客が、実際に売り上げという数字にも表れている点です。素直さ、謙虚さ、誠実さを持って、いつも店頭に立ってくれています。また、販売や教育などすべてのアクションにおいて、お客様軸で考えることができているところを評価しています」(「ラグナムーン」統括マネジャー)

(繊研新聞本紙25年5月15日付)

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