楽天が楽天市場で3月から「3980円以上の購入で送料無料」とする方針が波紋を広げている。公正取引委員会が独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで事情聴取を始めた。出店者側の送料負担が増え、利益を圧迫するためだ。ただ、ファッション業界の出店者の多くは「商品の値上げ」「高単価品へシフト」を見据えている。ECモールのユーザーは価格意識が強いが、価格アップを通せる「付加価値の提案力」を磨き、自店の顧客と密なつながりを作れる「自社EC」を強化する狙いがある。
(疋田優)
楽天が導入する送料無料化は19年1月に発表され、今年3月18日に実施される予定。出店者によると、楽天は過去に何度か送料無料の一律化を打診し、延期していた経緯があるという。今回は送料無料のアマゾンに対抗するため、かつ出店者へも考慮し、3980円を提示した形。とはいえ、今回の一律化の実施以降に楽天物流倉庫への商品納入や、購入者が支払う送料金額を下げる狙いもあるようで、販売業者にとってはコスト管理と収益体制の構築がより重要になる。