飲むヨーグルト、アイス、ポテチ… 物価上昇局面で攻めの商品開発(月刊「食品新製品トレンド」・武藤麻実子)

2024/02/06 11:00 更新


 値上げで生活防衛意識が高まる中で、「買いたい」と思わせる商品作りが加速する。総務省消費者物価指数(全国23年11月分)で、総合指数は20年を100とし106.9で前年同月比2.8%上昇、食料全体では115.6で8.6%上昇。POS(販売時点情報管理)データで価格上昇が激しい分野で〝攻めの商品開発〟があったのは「小容量飲むヨーグルト」「アイスクリーム」「ポテトチップス」だった。

ヨーグルトは機能で

 定番の大容量プレーンヨーグルトの23年平均売価は19年比で19円の値上げ、22年からは15円と高騰。そこで台頭したのが機能性を備えた「小容量の飲むタイプ」。明治の「明治プロビオヨーグルトR-1ドリンクタイプ」は「R-1乳酸菌EPS」を通常比2倍配合の〈The GOLD〉を投入。他社も〝ストレス・睡眠・疲労〟に着目した「わたしのチカラQ10ヨーグルト・ドリンクタイプ」(カネカ)、骨密度と腸をサポートする「森永カルダスヨーグルト ドリンクタイプ」(森永乳業)など消費者のヘルスクレーム(有効性に関わる表示)への興味を購買導線としている。

新食感のアイス

 23年後半は菓子ブランドの展開や新食感で活気づいた。「ISHIYA監修 雪見だいふく×白い恋人」(ロッテ)、「カレ・ド・ショコラアイスクリームバー」(森永製菓)、「雪室ショコラアイス」(ブルボン)などチョコ菓子の派生が顕著。食感も重視され、「ガツン、とアップルパイ」(赤城乳業)は通常品より高いが、リンゴ果肉ソースとパイクランチで食べ応え十分。不思議な食感を生んだのは「monyu(モニュ)」(オハヨー乳業)。〝シャリシャリ・とろ~り・カリカリ〟と変化が楽しい「SHALILIカフェラテアイス」(井村屋)は、日本アクセス主催「新商品グランプリ23年秋冬」でアイス部門1位とトレンド賞をダブル受賞した。

ポテチで環境配慮

 トップ2社は、原料や製法、環境への配慮を付加価値にブランド育成を促進。カルビーは独自開発の加工用ジャガイモ「ぽろしり」を使う「ポテトチップス 今を味わう!」や、国産原料の良さを引き出したいと開発した「CRAFT Calbeeじゃがいもチップス」を発売。湖池屋も畑から考える新プロジェクト「KOIKEYA FARM」を始動、地域振興やSDGs(持続可能な開発目標)に取り組むプロジェクトも発足し、脱デフレに向けた施策として展開中だ。

(月刊「食品新製品トレンド」・武藤麻実子)



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事