合同展「プラグイン/エディトリアル」(繊研新聞社とCREDITSの共催)はきょう東京・恵比寿のエビス303で開幕する。会期は28日まで。出展者は前3月展と同規模の85社、ブランドは100を超える。うち65%が合同展初出展で、スタートアップ企業や新興ブランドに加えて有力、老舗企業のコロナ後を見据えた新プロジェクトや新ブランドが揃う。今回も新しい出会いと発見が期待される。(カッコ内はブース番号)
見逃せないのはサステイナブル(持続可能)な提案だ。ほとんどの出展ブランドがサステイナブルを打ち出しており、その提案数とともに内容、アプローチが発展している。リサイクル素材や環境配慮型素材の使用にとどまらず、生産やMD、販売、廃棄などの仕組みを見直してサステイナブルを追求している。具体的には①過剰生産の見直し②無駄を出さない生産工程の見直し③在庫や廃棄ロスの削減につながる適時適品の供給体制とその一環として商品構成やサイズ展開の設定④先行受注など的中率向上策の実施⑤二次流通やオンライン販売など新しい販売戦略の採用⑥日本製の拡大を柱にSDGs(持続可能な開発目標)の「つくる責任・つかう責任」の実践に向けた多角的な取り組み――となっている。また、地域や社会貢献につながる協業、異業種とのプロジェクトも増えている。
サステイナブルを強調するブランドを集積するエディトリアル・サスティナブルプロダクツゾーンには12社が出展している。商品はウェアからバッグ、アクセサリー、生活雑貨、マネキン什器、洗剤と多岐にわたる。
オリジナルの国産生地、国内縫製のレディスウェア「ダブルフェース・トーキョー」(H-07)は今回、ブラウスを軸に「日本製こそ上質で、流通過程が明確で安心安全でロスや在庫の削減につながる」と打ち出す。同じくレディスウェアの「ネル」(H-11)はターゲットを絞らず、一つの素材、一つのサイズでサステイナブルを追求している。19年に「One=Everyone」をコンセプトにスタートした新興ブランドだ。


アップサイクルや作り手と使う人の結びつきの意味をブランド名に込める「エンドレスノット」(H-10)が披露するのは、ビンテージのラグを使った一点物のバッグ。そのほかパーツから手で磨き上げ、異素材と組み合わせたアクセサリーも揃える。同様にアップサイクルのバッグや小物を提案するのは「トゥモローファブリック」(H-42)。「大切に長く着る」「職人の手作業による伝統技術で作る」など、きものの価値や文化を継承、表現しており、西陣織の一点物のクラッチバッグやトートバッグ、ポーチが代表だ。


創業70年を超える建築タイル製造会社が手掛けるアップサイクルジュエリー「リジュイル」(H-12)も注目だ。職人の技術と美濃焼の風合いや色合いが際立つタイルを使い、アクセサリーに再生している。同社は全26色3種類のデザインから選べるタイルイヤリング「七窯社(ななようしゃ)」(F-14)でも販路開拓を目指している。

そのほか、廃棄される生地や付属をアップサイクルした傘やレイングッズの「プラスリング」(H-06)、広島に贈られた折り鶴(年間1000万羽、重さ10トン)から再生加工した紙に持ち手と留め具をヒノキの間伐材で作った扇「ファーノ」(H-02)、紙とトウモロコシ由来の生分解性樹脂から作り、長く使って経年変化を楽しむタンブラーやテーブルウェアをコンセプトにする「パプラス」(H-02)、茨木県常陸大宮市の無形文化財である西ノ内和紙を使い、有機溶剤不使用、軽量で地域貢献や文化保護にもつながる和紙を使ったマネキンの「ワルツ」を披露する「トーマネ」(H-03)、洗濯による汚染を防ぎ、海洋環境を守るために創業70年のクリーニング店が扱うブランド「海をまもる洗剤」(H-05)など、注目の商品が多数集まっている。

