フランスのベビー・子供服「プチバトー」がアジア市場で成長を続けている。仏プチバトーは、中国のパートナー企業とともに多店舗化を進めている。ジャパン社が運営する日本もECが大きく伸びるなど、消費の変化に伴ったアプローチに力を入れている。
(須田渉美)
この2年で会社としての方向性が大きく変わり、プチバトーはグローバル企業になろうとしています。もともとはフランス人のためのドメスティック企業であり、輸出は欧州市場が中心でした。5年ほど前、アジア向けはほんのわずかでしたが、日本と中国で実績を上げ、今では売り上げの約10%を占めます。5年後には30%に拡大する見通しです。
というのも、中国は今、現地企業とパートナーシップを組んで、直営店の出店を加速しています。現状で23店、今年中に17店を出店し、3年かけて150店にする予定です。徐々に認知度は上がっており、モールでの売り上げが順調です。支持される要因は、日本同様に、フランスに昔から存在するブランドで、仏人のアイデンティティーを感じさせる文化的要素を伴っていることです。
急速な出店に伴って、生産のコントロールが目下の経営課題となっています。現状の供給量の約85%を仏トロワの自社工場で生産しており、フル稼働している状況です。ただ、生産量を増やすだけにとどまらず、各国のマーケットニーズや季節に応じて納品していく体制を構築することを大事にしたい。
日本は、フランスに次ぐ2番目の市場となりました。プチバトーが伝統を受け継ぎ、モダンな要素を融合したブランドとして理解された結果と見ています。今では、商品を企画する際のインスピレーションを得る場でもあり、私たちにとって試験的なことにチャレンジするマーケットになっています。
日本の消費者は昔から、トレンドに敏感ですし、百貨店を中心とした直営店、EC、SNS(交流サイト)との連動も発展しています。どの国よりも、ECの売り上げが伸び続けており、売り上げ比率の20%を占めます。そういった点でも、将来の売り方やコミュニケーションの取り方など、じっくりと考えていく価値があります。
グローバルの売り上げは、ECと輸出の2軸がけん引し、3年連続で2ケタ成長を続けています。とりわけ16年の伸びが大きかったので、今年の伸び率は昨年の水準にはとどかないと思いますが。
魅力を高める上では、協業も大切な要素です。今夏はパリの老舗の標本屋デロールとの協業商品やワークショップを実施しましたが、引き続き歴史や芸術に着目した企画を親子と共有していきたい。また、今年6月、マレ地区に新しいコンセプトの直営店を試験的に出しました。日本でも18年秋にその形を導入することができるでしょう。