【パリ=小笠原拓郎】コムデギャルソンの24年春夏パリ・コレクションは、しばらく見なかったくらいの色を散りばめたボリュームスタイルを見せた。ハレーションを起こしそうな鮮やかな色柄の洪水。グラフィック、少女の肖像画、タータンチェック、様々な柄が圧倒的な色の厚みとともに登場する。丸みのあるドレスだけでなく、シューズにもたくさんのビジューの装飾。くらくらとめまいを感じそうになりながら、プリミティブな声に後押しされるように服が迫ってくる。
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このアブストラクトな服を見て、改めて感じるのは、川久保玲は今回、服を作っていないということだ。正確に言えば服は作っているのだが、服の表層的なデザインではなく、服を通して今の時代に対する姿勢を示している。「服の外側にあるもの、服ではないもの」とかつて、14年春夏コレクションで川久保は語ったことがある。そのときは、服の概念の外側にあるものにあえて踏み出すことで、服の概念を広げ新しい表現を試みた。当時は「服なのか、服とは何なのか」を見る者に問いながらも、しかし、あくまでも服を見せたように思う。
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