「MASU」は東京・新木場の撮影スタジオで、ファンを迎えたイベント「シークレットボックス」を開催した。「26年春夏コレクションの撮影現場を、マスボーイズのみんなに見てもらいたい」と、デザイナーの後藤愼平自らがインスタグラムで呼びかけ、若者が500人以上が集まった。報道陣はわずか。あくまでも若いファンに向けて、普段は見ることができない撮影の過程を披露した。
【関連記事】《めてみみ》新しいプレゼンテーションの形
大きな撮影スタジオの中心には、直径1メートルほどの丸太が横たわっていた。舞台はその上。壁面には新作が並び、モデルはその場で着つけられ、その周りでヘアメイクやスタッフがせわしなく行き来する。インカムを付けたデザイナーが舞台横に陣取ると、撮影開始。丸太の上をランウェーのように歩くモデルに対し、デザイナーがポーズや表情を指示しながら撮影は進んだ。

丸太を取り囲むように集った若者は、その様子を興味深そうに眺めていた。年齢は20~30代が中心。その多くがMASUを身にまとっていた。メンズブランドだが、クールな女性も少なくない。いずれも服好きなのが良くわかる。
新作は、襟がバンダナ柄になったブルゾンや裏地が裾から飛び出したショートパンツなど、ひねりのあるスタンダードが中心。ジャカードのソックスやアイコンのケーキバッグがアクセントになっている。都会的なルックをよく見ると、ベルトループがねじれ、ジャケットはひっかき傷だらけ。きれいすぎない仕上げが味になっていた。
通常のショーとはひと味違う撮影公開。そこはデザイナーたちの声が飛び交う生の現場だった。終了後、丸太の上で後藤自らが若者たちに話し掛け、その場で選んだ数人にプレゼントを配った。何から何まで想定外。「アナログで体験的で生々しいもの。作り込まれた美しいフィクションとは違うもの」を見せたかったという。
