パル ベーシック商材で戦略商品

2016/04/18 08:10 更新


原価率上げた低価格品で裾野奪回へ


 パルは今期(17年2月期)、ベーシック商品について、原価率を従来より約10㌽高い40%に引き上げ、低価格で値頃感のある戦略商品として売り込む。前期は「マスマーケットのファッションブランドの感性も上がり、当社が手掛けるマーケットの裾野をかじられた」(井上英隆会長)ため、戦略商品で奪われたマーケットを取り返す狙いがある。同時に生産プラットホームの再構築と、プロパー消化率の引き上げにより、収益力の回復を目指す。

 前期は「シンプル、ベーシック、低価格を選ぶ消費者が目立った」。加えて「アイテム数を増やし過ぎ、短サイクル化したMDにひずみが出てしまった」ため、粗利益率が1・5㌽、営業利益は27・7%減となった。

 これまでは30%前後の原価率で価格を設定していたが、今期から仕掛ける戦略商品は、例えば従来3500円だったTシャツを2500円で販売する。生産プラットホームを生かし、複数ブランドで素材の共通化などを進め、「より品質のいいモノを安く」提案し、大量に売りさばく構えだ。

 プロパー消化率は前期、6割を下回る結果になったが、戦略商品をはじめとした部分で8割を目指す。売り筋のベーシック(戦略)商品は、分割発注とQRとで、消化率だけでなく、機会ロスの削減も重視する。

 戦略商品を打ち出す一方、パルらしい一味違うブランドや商品の提案も重視する。「ビアズリー」「ルイス」など感度の高いブランドは、「マスブランドの追い上げがなく、前期は増収増益だった」ため、引き続き独自の提案を推す。ブランドによっては人材を起用してリブランディングし、トレンド性などのブランド価値を改めて磨く。

 14年12月に子会社ジェネラルが立ち上げた「コロニー2139」のように、「最初から原価率40、50%台で提案するブランドもある。パル独自の感性を生かしたベーシックファッションを広げていきたい」と話す。同ブランドはまだ赤字だが、秋をメドに採算に乗せたい考えだ。



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