オンワード樫山は、情報発信や顧客接点作りの核となるオウンドメディア「オンワード・クローゼット・マグ」(マグ)を2月に立ち上げた。
【関連記事】オンワードデジタルラボ 社会課題に取り組むDtoCブランド販売サイト開始
紙媒体やウェブメディアで実績のあるフリーランスエディターの溝手順子さんが編集長を務め、「23区」のPR・販促を長く務め現場をよく知るマーケティング戦略ディビジョンオウンドメディアセクションの野村美奈子さんや若い社員が、ブランドを越えて洋服、ライフスタイル、コスメなどファッション全般の情報を発信している。
溝手さんは発信するコンテンツについて、「(コロナ禍で)洋服を着る・選ぶことが精神面と直結していると感じた1年だったのではないか。自分のために着る、そのために何を選ぶか。その思いにこたえるため、物作りのこだわり、ファッションの楽しさ、気になる美容や健康など、多様な切り口でファッションを伝えたい」と話す。
記事を書くのはブランドや物作りに精通している社員だ。作る側の気持ちや細部のこだわりが分かるからこそ、熱量の高い情報が発信できる。想定読者は「絞り込んでいるわけでないが、あえて言えば結婚や出産、キャリアなど、選択肢が増え、悩みの多い30代半ばから40代を想定」している。
マグでは、「こんなものが欲しい」という市場のニーズをとらえて、ブランドと協業した商品作りにも踏み込む。第1弾として販売した「23区」とエディターの高橋志津奈さんとの協業による「究極の着まわしエディターズパンツ」は、「店頭とECを足してヒット商品と呼ばれる数を、ECだけで記録」した。溝手さんは素材やパターン、縫製などの質の高さに感心したというが、社員にとっては「良い物が当たり前で、その点を取り立てて伝えてこなかった」ことにも気づいたという。外部の目が入ったことで、これまで伝えていなかった価値をユーザーに発信できたこともヒットにつながった。
さらに、「これまではブランドが作った物をどう売るかがプロモーションだったが、これからはプロモーションと物作りが並行する、場合によってはプロモーションが先行することもある」(野村さん)と、物作りのスケジュールの見直しにもつながっている。今後はSNSとも連携を強めながら、「まずはたくさんの人に見てもらうこと。結果として購入してもらったり、継続して訪問してくれるような長いエンゲージを作っていきたい」と話す。