日鉄物産は三井物産と繊維事業における提携に向けた検討を開始することを決めた。
日鉄物産は2月3日開催された取締役会の決議に基づき、三井物産との間で、同社繊維事業と三井物産の繊維事業中核子会社である三井物産アイ・ファッション(MIF)との統合を軸に、両社の繊維事業の提携に向けた検討を開始する旨の基本合意書を締結した。両社の統合新会社への出資比率は50・50とする予定。両者は本検討を直ちに開始し、今年6月を目途に両社間で最終契約を締結し、22年1月を目途に統合を実施する予定だ。
今回の両社提携の目的として①コア事業であるOEM(相手先ブランドによる生産)事業の基盤強化②新たな成長分野での事業機会創出③顧客への提供価値の深化を掲げる。OEM事業の基盤強化では、両社の販売力と顧客ネットワーク及び各々が得意とする商品・サービスを組み合わせ、相互補完による相乗効果を最大限に発揮すると共に「本統合による規模を活かし調達面を中心とした効率化、機能強化を追求し、事業競争力の向上と強固な事業基盤の構築を目指す」方針。成長分野での事業機会創出については、両社が持つ、川上から川下に至るサプライチェーン全体における事業リソースを最大限に活用し「成長が見込まれる海外市場向けの事業拡大を図ると共に、デジタル技術を駆使した新サービスの提供や、サステナビリティを切り口とした新たな事業機会の創出」などで持続的な成長を目指す。提供価値の深化に向けては 両社が長年培ってきた繊維事業の知見や総合力、調達ネットワークをベースに「企画・生産・物流等の各機能工程におけるデジタル・テクノロジーを活用した新たな取組みにより、顧客の変革をサポートすることを目指す」としている。
繊維事業分野では国内外の事業環境の変化が加速。特に国内アパレル向けのOEM市場は縮小傾向にあり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も相まって、今後更に厳しい状況になることが想定される。これらの経営環境のなかで、繊維事業の事業基盤の強化と持続的な成長・発展を検討していた両社の企図が合致した。