アダストリアの「ニコアンド」は中国本土と台湾、韓国、タイの雑貨や食を独自に編集した企画「ニコアンド・アジアン・マーケット」を始めた。全国の大型店9店と公式ウェブストア「ドットエスティ」で8月頃まで行う。この数年、中国本土を中心にアジアへの出店を加速するなか、実際に現地の視察などで触れたタイのマーケットや台湾の夜市のにぎわいを再現した。
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目玉の一つは台湾の国民的インスタント麺「王子麺」との協業。3年前に台北店のオープン3周年を記念して現地で販売した協業商品が好評だったため、今回、日本でもデザインを変えて商品を作った。野球帽をかぶった少年のアイコンがキャッチーなクッションやバッグなどがある。あわせて、台湾のスーパーやコンビニでニコアンドの名前が入った袋麺を販売している。

もう一つは韓国発のドリンク「ブーランジェリーブール」のコーラや缶ビールだ。SNSを起点に若者に支持され、日本でも注目されているという。東京・原宿の「ニコアンドトーキョー」では本国のイベント開催時に提供されるコーラフロート2種類を日本で初めて出す。

4月にタイ・バンコクに出店した際に協業した名古屋のタイ料理店「ヤンガオ」や、韓国のデザインブランド「デンス」に別注したアパレルのほか、台湾になじみがある店「台湾飯店」「大浪漫商店」のオリジナル商品なども揃えた。カフェやレストランを併設した店では、ルーロー飯やプルコギなど各国のソウルフードをイメージしたメニューを期間限定で提供する。

ウェブストアを含めて全国に142店(5月末時点)出店するニコアンドは「雑誌を編集するように連載と特集を持つ店」がコンセプト。大型店では45日ごとにテーマを設けた売り場を企画している。これまで、主に日本の産地や「面白い人」と組み、「メイド・イン・ジャパン」企画などを行ってきた。
一方、グローバル戦略を全社のなかで先陣を切って進め、アジアに店を広げる中で「ローカルの考えが日本のみならず海外にも向くようになった」と、今回の発起人でニコアンド営業本部営業統括の増田太一さんは話す。コロナ禍前に台湾や中国本土に出張し、現地で触れた文化を店でも表現したいと数年前から構想していたという。
現在、海外は30店ほどある。バンコクの店は東南アジアの1号店で、現地に駐在する日本人客も多く、順調だ。ただ、アパレルは日本との気候や文化の違いによる課題が残り、ローカルMDの開発を進めている。