ニッケ、安定供給へ設備強化 学生服の多様化に対応

2024/07/19 06:28 更新


 ニッケは学生服向け素材の安定供給を続けるため、設備投資を強化している。国内の繊維産地では各種コスト高や人手不足、後継者難といった課題が重くのしかかり、サプライチェーンが揺らいでいる。学生服では、モデルチェンジ(MC)への対応も課題だ。LGBTQ(性的少数者)に対する配慮もあり、学生服が多様化し、素材の小口対応が増え、作り手にはその対応力が求められている。

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 中学校を中心とした学生服のMC校数は近年、高水準で推移している。そのほとんどが詰め襟やセーラー服からブレザーに変わり、柄物のニーズが増えた。デザインは学校ごとの別注だ。その分、小口の対応ができる生産・供給基盤を整えなければならない。

 こうした状況を踏まえ、昨年から設備投資に乗り出した。昨年に環境配慮型の紡績糸「ブリーザ」の増設を実施。今年は「サプライチェーンのネックになっている」という織布の準備工程が重点だ。今夏は織機の整経機を2台導入、今冬にはドローイングマシンを導入する予定だ。

 金田至保常務執行役員衣料繊維事業本部長は、糸から織布、仕上げ工程まで国内一貫の物作りは、「ニッケの物作りのベースであり、強み」という。「サプライチェーンを〝清流化〟し、各工程を切れ目なくつないでスムーズに供給できるよう設備投資を進めていきたい」という。

ブレザーが主流に

 ニッケによると、今春(24年度)のMC校数は中学校が609(前年度は578)、高校が126(170)。中学校は過去最多だった。中学校、高校のいずれも「ブレザースタイル化が加速している」という。なお、ブレザースタイルは上衣、下衣で異なる生地、柄が選ばれる。自治体単位で制服の仕様を統一化する〝エリア標準服〟の導入も増え、これもブレザースタイルが選ばれる傾向にあるという。来春は中学校が514、高校が150のMCを見込んでいる。



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