【サンフランシスコ=立野啓子通信員】ナイキ(米オレゴン州ビーバートン)の20年第4四半期(3~5月)は、コロナ禍により北米、欧州・中東、アジアパシフィック・南米の各地域で90%の店舗が約8週間閉鎖される中、売上高は63億1300万ドルで前年同期比38%減となった。純損益は、前年同期は9億8900万ドルの黒字だったが、当期は7億9000万ドルの赤字だった。自社店舗の閉鎖に加え卸の出荷が50%減少するなか、ECは75%増で、売上高の約30%を占める。
収益低下の要因は卸のディスカウント、工場のキャンセル費など生産原価の上昇、在庫の増加、サプライチェーン改善の費用など。6月25日時点でナイキストアの90%は再開している。ジョン・ドナホー社長兼CEO(最高経営責任者)は、「ECは全世界の市場で加速した。今がナイキの強さと特色を生かして上昇する機会でもある。より強く消費者とつながるデジタル体験を含め長期成長に向けて投資していく」とコメント。マシュー・フレンドCFO(最高財務責任者)は、「不透明なマクロ経済の中、機敏に行動し、市場の要求に応え、コスト管理と強固な財務を活用し、長期的で収益力のある成長につなげていく」とコメントした。第4四半期は一時的な落ち込みで、不透明な時期こそブランドはさらに強くなると自信をみせた。
通期は、売上高は374億300万ドルで4%減、純利益は25億3900万ドルで37%減となった。ECは47%増で、すべての地域で2ケタ台の拡大。中国の売上高は為替調整後で11%増となり、6年連続で2ケタ台の増加となった。営業利益率は8.3%で6.1ポイント低下した。