総合アパレルは不採算店舗の閉鎖やブランド廃止がほぼ終了し、人員削減なども含めた構造改革がようやく成果となって表れてきた。18年、19年から本格化した各社の構造改革は3カ年計画で20年や21年の成果を見込んでいたが、コロナ禍の環境悪化で鈍化していた。各社の22年度第2四半期決算は増収増益や損益でも赤字幅が大幅に改善されている。コロナ禍で変化した市場や消費者の購買動向に対応した施策も打ち出し、新たな段階に向かっている。
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■5社ともに増収
22年度の第2四半期決算ではワールド、オンワードホールディングス(HD)、TSIHD、ルックHD、三陽商会ともに増収となった。店舗閉鎖やコロナ禍で、コロナ前の19年度までには戻っていないが、増収基調となっている。営業損益ではTSIHDとルックHDは前年同期に続き黒字で、ワールドとオンワードHDは黒字転換。三陽商会は3億1700万円の赤字だったが、前年同期の20億3300万円の赤字から大幅に改善し、通期では7期ぶりの営業黒字を見込む。
構造改革やコロナ禍を受けて、各社は一斉に在庫の適正化やプロパー販売の強化に取り組み、利益重視の経営に切り替えている。仕入れや値引きの抑制も共通の課題として取り組んでおり、粗利益率の改善とともに販売・管理費の改善でも成果が見られる。
TSIHDは「パーリーゲイツ」など引き続き好調なゴルフやストリートのカテゴリーなどで、売上高は11・3%増で、営業利益は本社移転の前倒し償却を除くと実質、上期としては過去最高となった。
■OMO対応急ぐ
構造改革の成果が数字として表れてきたことで、成長分野への投資やデジタル化の一段の推進、消費者ニーズや市場に対応した新たな攻めに入っている。ワールドは「アパレルブランドの完全復活」に取り組んでおり、伸びているECコンテンツ強化とOMO(オンラインとオフラインの融合)を推進。OMOはEC販売が伸びるなか、送客強化や「試着したい」とのニーズへの対応とともに新たなリアル店舗を強化する役割も担い、各社が対応を急いでいる。
オンワード樫山は新たなOMO型「オンワード・クローゼットストア/セレクト」の出店を加速、ネットの商品を取り寄せて試着できる「クリック&トライ」も好評。また、DtoC(メーカー直販)の「アンフィーロ」「アンクレイヴ」も好調で、新ブランドの在り方も変化してきている。
三陽商会は全社横断プロジェクトとして発足した「商品開発委員会」で、自社工場や技術・開発力の強みを生かし先進的な機能素材をブランド横断で商品開発する。有効的な素材使いや強みを生かすことで、市場に支持される価値ある商品を作り、好評だ。
(繊研新聞本紙22年12月19日付)