アダストリアは、店舗で働く店長や販売員が本社業務を体験する、社内インターンシップを実施している。普段は関わりが少ない本部のことを知ってもらい、キャリア形成を考えるきっかけにつなげる狙いだ。参加者が新たな目標を見つけたり、本部目線の考え方を店舗に持ち帰って日常業務に生かすなど、成果が出ている。
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前身は23年に実施した「グローバルワーク」のブランド内インターンシップだ。マーチャンダイザーやスーパーバイザー(SV)に同行し、業務を体験しながら学ぶ内容が好評で、24年から全社に規模を広げた。
毎年5月ごろに開催する。全国の店舗の正社員から希望者を募り、志望動機や自己PRの書類と事業部長との面接で選考する。今年は178人が応募し、56人が参加した。
「ニコアンドMD体験」などブランドごとのコースのほか、本社広報体験など、全25コースがある。日程は3日間。店舗と距離が近いため、各ブランドで人気のSV体験では、店舗視察の際に見るポイントを教わったり、会議に同席して販売戦略の立て方などを学ぶ。

参加者からは「本部の業務や考え方を知って視野が広がり、店頭での動き方が変わった」などの声が上がっている。体験した業務に魅力を感じて目指し始めたり、実際に本部へ異動した社員もいる。今年の広報体験コースに参加したある社員は「本社業務を学ぶことで、店舗の仕事の魅力も再発見できた」と話す。
本部の社員側はインターンシップを通して、自身の業務の意味ややりがいを見つめ直す機会になっている。「本部と店舗の貴重なコミュニケーションの場でもある。双方から評判が良く、今後も継続したい」(伊澤嶺人事部マネージャー)。今後は参加人数の拡大や、子会社を巻き込んだ企画にすることも検討する。