新規求人数はコロナ前の9割 クリーデンス調べ

2021/08/19 06:26 更新


 総合人材サービスのパーソルキャリアが運営するアパレル・ファッション業界専門の転職支援サービス「クリーデンス」は、同業界の21年4~6月の「転職求人倍率」を発表した。全体の求人倍率は1.1倍。新規求人数の推移を見ると、新型コロナウイルス流行前の19年4~6月比で90.8%まで回復した。多くの企業が4月に向けて採用活動を行う傾向があるため、直近の21年1~3月の98.8%と比べて求人数はやや減少しているが、20年10~12月からの回復傾向が続いている。

 業種別で見ると、転職求人倍率が最も高いのは「マーケティング」の3.4倍で、次いで「ウェブ・EC」の3.3倍。新型コロナの流行を機に、EC基盤の構築や売り上げ拡大が急務となり、昨年4月以降はウェブマーケティング、EC事業責任者、ECに特化した販売戦略立案担当者の求人数が急増。業界内にデジタル技術にたけた人材が少なく、求人数の増加幅は登録者数の増加幅を大きく上回っているため、転職求人倍率が高水準となり、売り手市場の状況が続いている。

 一方で「パタンナー」「店長・販売」は新型コロナ流行直後、求人数が流行前の半数以下に激減。現在は回復傾向にあるものの、19年4~6月比の回復率は約6割。背景にはパタンナー業務を海外へ外注する企業の増加、ブランドや店舗の閉鎖に伴い販売員を社内異動で補う企業の増加、経験が浅い若手の大量採用より技能の高い経験者の少数採用へのニーズの変化がある。

 パタンナーと店長・販売職では、業界の現状が不安要素となって転職活動を始める人が増え、登録者数が増加傾向のため転職求人倍率は1倍を下回った。販売職は慢性的な労働力不足が長年の課題だったが、20年4月以降は買い手市場に一変し、現在もその状況が続く。

 コロナ下でDtoC(メーカー直販)ブランドを立ち上げる企業が増えていることを背景に、今まで首都圏中心だったデザイナーやMDの求人が各地で増えるとみる。DtoCはSNSやECサイト上での販売が主体で、物作りにたけた企業が参入できるため、デザイナー、MD、ECサイト運営担当の求人が増加の兆し。新型コロナ感染拡大を受けて登録者数が微減傾向のため、転職求人倍率は微増すると予測している。



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