スーツに幅持たせ
フィールズインターナショナルは「アンタイトル」から16年、エグゼクティブキャリア向けの「アンタイトルエッセンシャルクルー」を発売した。「アンタイトルでは質・価格とも物足りない女性が出てきた。年齢とともに体形変化も起こっている。女性活躍の機運も高まり、次のステップとして開発した」(荒木早苗「アンタイトル」開発MDリーダー)ラインだ。
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中心顧客は40~50代の役職を持つ女性。社内での仕事、取引先との仕事、パーティーや食事会など様々なシーンを想定し、テーラードのかっちりしたスーツやノーカラーのセットアップ、単品ジャケット、ジャケットを着ないときの単品コーディネートなどを揃える。
ベーシックを根底にしながら、「スーツを着慣れている人が多い。素材やデザイン、シルエットで幅を持たせる必要がある」ため、セットアップスタイルでも、ボトムにはワイドやクロップトパンツ、デザインスカート、ジャケットもロング丈など時代性や汎用性も意識する。また、素材やディテール、縫製、パターンなどで若い女性向けの商品とははっきりと違いが分かる物作りもポイントだ。
『プレジデントウーマン』と協業したセミナーとナイトショッピング、『ミモレ』大学との協業イベントなど、「広く浅くではなく、〝密度の濃い〟接点作り」に力を入れる。
16年に出店した松屋銀座本店の「アンタイトルサロン」はエッセンシャルクルーの構成比が徐々に高まり、現在は約15%。大丸東京店や、今春から伊勢丹新宿本店での販売も始まり、対象客の多い立地に絞って出店している。「ニーズがあるのは間違いない」と、顧客の声を吸い上げたきめ細かな品揃えを「丁寧に続けること」を大切にしていく。
主張しすぎない
リンク・セオリー・ジャパンの「セオリーリュクス」は、さりげないデザイン性と機能性、細かく組んだシーズンやモチベーション別のMDが、エグゼクティブキャリアからの人気を支えている。デザイン変化よりも、丈やアイテムの組み合わせの絶妙なバランス、着心地、ビジュアルの良さに力を入れ、服装で主張しすぎることを嫌うエグゼクティブキャリアからも評価が高い。
ブランドの核となるのがセットアップ。特にビジネススーツスタイルを提案する「エグゼクティブライン」が手堅い顧客をつかんでいる。夏であれば「クランチ」(麻・レーヨン混ストレッチ)使いなど時期別に定着した企画もあり、分かりやすいMDであることもポイントだ。
一般キャリアにも支持は広がってきた。ブランドとしても新たなファン拡大は課題で、エグゼクティブや予備軍、さらに背伸びして同ブランドをワードローブに加えたい層の掘り起こしに力を入れている。

(繊研新聞本紙19年3月6日付)