クレジットカード不要の後払い決済でキャッシュレス化を推進――ネットプロテクションズ(東京、柴田紳社長)は、現在ECを中心に提供しているカードレス後払い決済サービス「アトネ」にQRコード決済機能を加え、8月をめどに実店舗でも使えるようにする。ECと実店舗の両方にアトネを導入すれば、後払いを好む新規ユーザーの獲得に加え、「ポイント機能でリピーターを増やし、O2O(ネットと実店舗の相互送客)の促進にも役立つ」とする。
アトネは約1分間でできる会員登録をすれば、翌月以降のコンビニエンスストア払いにできるサービス。QRコード決済機能は、客が店舗のタブレット端末に表示されたQRコードをスマートフォンの専用アプリで読み取ると、その場で現金を支払わずに決済できる。送られてくる請求書は、アトネ経由で買い物した1カ月間の合計金額で、一括後払いが特徴だ。
同社が行ったアンケート調査では、実店舗で利用する決済方法は「現金」が全体の60%を占める。さらに、そのうちの7割が「手持ちがないために購入を諦めたり、購入点数を減らした経験がある」と回答したといい、「非クレジットカード×後払いで、売り上げ向上が見込める」とする。
今後成長が見込まれるQRコード決済市場を開拓する狙いもある。経済産業省は現在、約20%のキャッシュレス決済(クレジットカードやモバイル決済)比率を27年6月までに40%程度まで引き上げる「キャッシュレス・ビジョン」を掲げているが、「現金主義は根強く、クレジットカードやプリペイドへの抵抗感が強く、国内のモバイル決済利用率はわずか6%にとどまっている」(同社)。
国内のQRコード決済のプレイヤーは①口座直結で即時引き落としの「デビット型」②事前入金必須の「デポジット型」③クレジットカード登録を前提とする「クレジット後払い型」の3種類に集約されるが、これらは「既存のクレジットカードや電子マネーのインフラにQRコードを追加したものが中心で、現金派のニーズを取り込めていない」として、クレジットカード不要のアトネでQRコード決済を普及させる考えだ。
アトネのQRコード決済はサービス開始1年間で、月間取扱金額12億円、アトネ単体の売り上げ2億7000万円、利用店舗数500、会員数100万人を目指す。ECを含んだアトネ全体の年間取扱金額は3年後に1000億円を見込む。