ファッション性と機能性が融合するバッグ「マスターピース」を製造・販売するMSPC(大阪市)でチーフデザイナーを務める永田勇一さん。国内生産にこだわるのは「自分たちしか作れないものを作るため」。
マスターピースの魅力はデザインだけでなく、独自素材含む異素材組み合わせで生み出される独自性にある。これは職人技に支えられている。
00年頃からバッグは海外生産が主流となり、工場の海外移転、廃業が進む。永田さんに「このままだと大手メーカーと同じようなものしか作れなくなる」危機感が生まれた。
それを回避するためにマスターピースは廃業を予定していた協力工場を職人ごと買収した。現在のマスターピース専用工場「ベースオオサカ」となる。
ベースオオサカは技術の継承も目的とする。職人がベテランだけだった工場を買収後、永田さんは積極的に職人希望の若い人材を集めた。職人の広い年齢層は感性をミックスし、マスターピース独特の雰囲気を作り出してもいる。
永田さんはさらに層を厚くして、多くの意見が出やすい環境にしたいと言う。それは「多くの人の手に持ってもらう」バッグに必要なことと考えるからだ。
■永田勇一(ながた・ゆういち)
大阪総合デザイン専門学校卒業後、デザイン会社、ジーンズメーカーを経て、05年井野屋マスターピース事業部(現MSPC)入社。