伊藤忠商事、モリトが趣向凝らした入社式 原点の強調や体験型

2026/04/06 06:30 更新NEW!


東京本社で入社式を開き、151人の新入社員が入社した(伊藤忠商事)

 今春も多くの企業が新入社員を迎えた。新しい価値観を持った若者たちに何を伝えるか。入社式では、経営トップが自社の原点を改めて強調する一方、体験型プログラムを実施したり、AI(人工知能)を活用して過去や将来を描いたりと、趣向を凝らした取り組みも見られた。

伊藤忠商事 セレモニーの中で生成AI“時空”中継

 伊藤忠商事は4月1日、入社式を東京本社で開いた。151人の新入社員(うち総合職128人、ビジネスエキスパート職23人)が入社した。

 石井敬太代表取締役社長COO(最高執行責任者)は、「今、皆さんが知る伊藤忠商事は常にトップを争う総合商社だが、当社が大阪の繊維問屋から現在の総合商社へと成長する過程では、一人ひとりの社員が歯を食いしばり〝無数の使命〟を果たしてきたことを知ってもらいたい」と述べた。その上で「かつて私が駐在していた米国でのビジネスは『Who are you?』から始まる。移民大国のアメリカでは肩書ではなく、あなた自身が何者なのかを問われる」と自らの体験を語り、「皆さんが伊藤忠で積み重ねる経験がキャリアとなり、それが商人として、人間として成長させ、人生を彩りのある豊かなものにする」と語った。

 岡藤正広代表取締役会長CEO(最高経営責任者)は新入社員への思いとして「毎日、小さな目標を見つけて、それを必死になってクリアしていく事が大事。入社して数年で会社を辞めるのは本当にもったいない」。新入社員への期待については「マーケットインの発想で顧客の考えていることを取り入れて、それに応えることが大事」と語った。

 一方、現在の中東情勢については「戦闘が早期に終わることを願っているが、一朝一夕に解決する問題ではない。先行き不透明な状況においては、我々民間企業も長期的な国益を優先しながら、次に備えて手を打っていく事が重要」と述べた。

 入社式のセレモニーでは、生成AIを活用し、新入社員が10年後、30年後に伊藤忠で活躍する姿や、伊藤忠の近江商人から始まる事業の歩みを〝時空中継〟の動画として映し出した。

〝時空中継〟では、AIを使った若き日の岡藤氏が登場

モリト ホックの“打ち初め式” 自社商品の愛着を

 入社後の初仕事はホックの打ち付け――。服飾副資材を主力とするモリトは4月1日、大阪市の本社ビルで入社式を開いた。そのなかで、新入社員が同社の社長や役員とともに、モリトを象徴する商品である金属ホックを打ち付けて小物入れを作るという体験型プログラムを実施した。

ホックを構成する四つのパーツを組み合わせて打ち付け、本革の小物入れを制作

 入社式には新入社員11人と、一坪隆紀社長をはじめとする役員が出席。一坪社長のあいさつなどを終えた後、ホックの〝打ち初め式〟を行った。モリトにとってホックは、創業から現在まで117年間扱い続けている主力商品。同社によると、グループ全体で年間10億個以上のホックをアパレルなどの各種製品や輸送分野向けに販売し、「国内シェアは1番、世界シェアは2番」という。

ホックの打ち付けを終えた新入社員たち

 打ち初め式を企画した背景の一つには、「ホックが生活に身近な物の割には詳しく知られていない」(同社)ことがある。「打ち初め式を通じ、自社商品に対する理解と愛着を深め、モリト社員としての第一歩を踏み出してほしい」と狙いを述べた。

 新入社員にとって社長はもちろん役員は社内で最も遠い存在だからこそ、「ホックを介して両者をつなぎ、交流を深める機会を作る」目的もあったという。

ホックを介して役員と新入社員をつないで交流を深める機会を作りたかったという

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