フェイクファー製造の中野メリヤス工業(和歌山県橋本市)は、自社のファーを活用したぬいぐるみ「粘菌の森」を開発した。実際に存在する粘菌をモデルにキャラクター化し、複数タイプを企画、卸販売も力を入れていく。
同社はパイル産地の高野口にある。自社生地ブランド「エクステリアル」では、ムートン、ラビット、ボアなど幅広いファーを企画販売している。今回の製品は、かつてファーの一大用途だったぬいぐるみの「原点に戻りたい」と企画。山好きのスタッフが粘菌のアイデアを出し、外部デザイナーとも協業して形にした。粘菌はアメーバのような単細胞生物で、和歌山出身の南方熊楠が研究対象としたことでも知られている。
粘菌は約4000種類存在するが、この中から六つを選定して顔のあるキャラクターにした。「オオムラサキホコリ」は、長いファーの毛足で毛むくじゃらの体を表現する。「ジクホコリ」は、3色切り替えた頭部に足が付いたキノコのような形。「ルリホコリ」は、実物のキラキラした光沢を表現してラメ糸を入れた。「マンジュウドロホコリ」は、毛先がカールしたシープ調を愛らしい形にした。
和歌山にゆかりのあるファーと粘菌を組み合わせたぬいぐるみとして商品化し、25年1月から自社ECで販売を開始。1個税込み6050円。東京インターナショナル・ギフト・ショーに出展したところ、来場者から「かわいい」と好評だった。
