名古屋三越 栄店とラシックの連携を加速

2019/07/01 06:26 更新


 名古屋三越は、栄店とラシックの2館による「SAKAEファッションモール」計画を加速している。栄店は婦人ファッションやラグジュアリーなどの改装を進め百貨店としての環境や機能を磨き上げ、ラシックは高感度な専門店を集積する商業施設としてファッションを軸に進化させてきた。2館がそれぞれの個性を発揮し、補完し合う体制を強めている。連携が強まり、2館とも客数は増加し、連絡通路の往来も活発化している。

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 栄店は地下1階の洋菓子、2階のラグジュアリー、3階の婦人ファッション、6階の時計・宝飾を重点にした大幅な売り場刷新を17年秋までに実施した。

 特に婦人服が主体だった3階は、婦人ファッションをテーマに雑貨や小物、食などを融合させ、独自の世界を作り上げた。同フロアの洋服の売り上げ構成比は50%を割ったが、雑貨などが売り上げを押し上げ、フロア全体では30%増となっている。同時に、フロアの4カ所にソファや全身を映しこむディスプレーを置いた大型のドレッシングルームを設置、楽しみながら試着し、買い物のできる環境を整えた。また、改装時に配置したファッションコーディネーターは認知度が高まり、リピーターは130人に増え、昨年、2人に増員。顧客との関係性を強めている。

グループで試着が楽しめるゆったりした空間のドレッシングルーム

 ラシックは栄店の地下1階と連動し、地下に高感度なプレミアムフードコートを開設。旬のスイーツショップなどを導入し、話題性やにぎわい性を高めた。同店はエッジの利いたブランドや地区初登場の新鮮なブランド、地区で同店だけの旬のブランドなどを集積し、「オンリーワン、ファーストワン」を強みに、顧客を広げてきた。この間の改装では、ファミリー向け業態の導入のほか、ファッション分野では館の〝感度軸〟をさらに上げ、強まるエリア間競合に対して、ラシックらしさをアピールしている。

 2館の連携で改装効果が高まり、相互送客にもつながっている。栄店とラシックは地上7、6階、地下1階の3カ所の連絡通路でつながっているが、2館の往来が活発化し通行量は大きく伸びた。特に今年の4月以降は10%以上の増え方だという。

 売り上げも、洋菓子は15%増、特選は20%増と栄店の改装フロアは18年度は好調に推移した。ラシックも改装区画は20%増を超え、全館では昨年10月以降、前年超えが定着してきた。

 「2館がそれぞれ個性に磨きをかけながら、SAKAEファッションモールとしてさらに連携を強めていきたい」(橋爪紀之名古屋三越取締役常務執行役員営業本部長)としている。

服に雑貨や食を融合させた名古屋三越婦人ファッションフロア


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